満足度★★★
華
こちらは、芸妓、舞子を中心に作られたバージョンで、それゆえにこそ、ふんだんに洋式のダンスも挿入されているのではあろうが、それが、志そのものでないところに、必然性の無さを感じ、劇的効果を減じていると感じた。
狂言回しを幽霊になったもと芸妓がやっているのだが、霊体であるのに、
喉が渇いたり、湯のみ茶碗や急須を持つことができる。而も、飲むと茶は、
ダダ漏れになって、辺りは水浸し、という矛盾を平気で組み込むことによって、男と女、体制と反体制。つまり恋と革命に於ける志と歴史の非情を、志側に惹きつけることにある程度は成功しているのだが、興ざめさせてもいるのだ。今後、矛盾の使い方をもっと工夫すれば、更に練れた作品になるであろう。その為には、大筋には矛盾を持たせず、サブプロットの中で矛盾を出す方が、劇的効果が高まるように思う。
また、雰囲気を出すのならダンスグループの衣装をもっと工夫した方が良かろう。革命と恋なら深紅の衣装とか、衣装が白なら真っ赤な照明とかいくらでもやり方はあるはずだ。