ウィンドミル・ベイビー 公演情報 演劇企画集団・楽天団「ウィンドミル・ベイビー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    大方 斐沙子
      名演である。差別とはどういうものか。丹念に描かれたシナリオの良さに改めて気付かされると共に、大方さんの演技力の素晴らしさに心を打たれた。因みにこのシナリオの作者、デービッド・ミルロイは演出家、ミュージッシャンとしても知られる才人で、アボリジニの作家としては初めて、オーストラリアで最も権威のあるパトリック・ホワイトの名を冠した賞を受賞している。2003年のことだ。因みにP.ホワイトは、20世紀の英語圏で最も才能豊かと言われた作家で、ノーベル文学賞を受賞した。
     今回、上演されたウィンドミル・ベイビーは、白人至上主義などという馬鹿げた差別をし続けた英国からの移住者に1788年以来、獲物として銃で狩られ、惨殺され、辱められ、土地を奪われ、差別され続けてきたオーストラリア先住民であるアボリジニの老婦、メイメイが、かつて自分が働いていた農場へ50年ぶりに帰還し、遣り残した仕事を終える話である。無論、登場人物はたくさん居るのだが、12名の人物を大方さんはたった1人で演じ分ける。その芸の質の高さ、滲みでる人間味の豊かさ、愛嬌や品、素朴やしなやかさ、白人農場主の冷酷性やその夫人のたおやかさ、アボリジニの純朴と知恵などを見事に演じ切る。無論、差別され、虫けらのように殺される立場でもあるので生きる為の知恵も巧みに表現されている。ミルロイ自身がアボリジニであるから、実体験も多く含まれよう。まして演出は、このような問題に関わり続けてきた和田氏である。肌理の細かい演出は流石である。
     一方、白人と雖も、時代の流れには逆らえない。2008年2月13日には、オーストラリア首相として、ケビン・ラッドが初めて先住民に対する公式謝罪をしている。とは言え、未だ、差別は息づいており、オーストラリア先住民の置かれている情況は、酷いものである。平均年齢の差が、白人より20年も短いことも見ておくべきだろう。
     舞台に登場した人が、実は、もう1人いる。生演奏で舞台を引き立て、劇中のシチュエイションに合わせたコラボでも笑いを誘うなど、舞台に膨らみを持たせてくれたボードビリアン、バロン氏。
     この後、福島でも7月12日の公演がある。今回、見逃した方、遠方で見に行けなかった方も是非、観劇して頂きたい。

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    2012/07/07 04:30

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  • 福島公演の宣伝までしていただき、ありがとうございます。

    制作より

    2012/07/07 18:41

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