パンザマスト【ご来場ありがとうございました】 公演情報 青春事情「パンザマスト【ご来場ありがとうございました】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    あまりにも青春
    「パンザマスト」って夕方児童の帰宅を促す放送という意味もあるそうだ。
    「♪夕焼け小焼けで日が暮れて~」みたいなやつ。
    ストーリーはベタな青春ものだし、わかりやすい展開だけど
    仲良し3人組が一度途切れた糸をもう一度つなぎ直す作業に立ち会ううちに、
    何だかうるうるして来ちゃったのはあまりにも素直な青春のせいか。

    ネタバレBOX

    チケットが「明向小学校 同窓会のご案内」と書かれた小ぶりの葉書になっていて
    自分も2次会に参加するような気分♪

    冒頭このクラスの担任影山(かげやん・大野ユウジ)が入って来て机で探し物をしている。
    同僚が呼びに来て会議の為に一緒に出て行く。
    誰もいなくなった教室の黒板に「パンザマスト」の文字がなめらかに映し出され
    黒板消しで消すように左から消されていく・・・。
    この映像が素敵だ。
    先生の動きに若干“段取り感”が拭えなかったのが惜しい。


    この教室に深夜、元6年1組の同窓会メンバーがやって来る。
    母校の小学校で教師をしている影やんは
    3次会代わりに懐かしい教室で盛り上がる仲間たちを抑えるのに必死。
    この辺りはパターン化してちょっとダレたかな。

    面白くなったのはガールズトークの辺りから。
    女性陣のリアルな会話に場がこなれて自然になった。
    この日一番客席が沸いたのは、美咲(貫井りらん)が
    6年の頃好きだった御子柴君(本折智史)に現在彼女がいるのかどうか確かめるシーンだ。
    期待が失望に、さらに何だか面白くない気分に変化していくところが
    よく表現されていて大いに笑ってしまった。
    貫井りらんさん、間と声に表情がある。
    あー、わかるわかる、腹の中で「ちぇっ」て感じ。

    御子柴君の名前が出る度に顔を曇らせるアッキー(加賀美秀明)とそれを気遣う影やん。
    みんなの思い出話から、3人の仲良しぶりがわかるにつれ、
    御子柴君が引っ越して以来、それっきり会っていないという状況に
    3人の間に何かよほどのことがあったのだろうと想像がかき立てられる。

    “同窓会の盛り上がり”と“謝りたいのに謝れない2人”がぐるぐる回る教室で
    「臆せず悩む姿」こそが大人になりきれない証拠なのだと思う。
    自分に言い訳しながらスルーする術を身につけたりして、大人は要領よくなっていく。
    でもここではかっこつけずに「ええ、そーですよ、悩んでますよ」的な姿を晒す。

    ラスト、影やんの応援で素直になれない御子柴君とアッキーが
    あの日実現できなかった運動会のリレーを再現、バトンを手渡ししてハッピーエンド。
    水戸黄門ばりにわかっている結末なのにじいんとしてしまったのは
    やっぱり大人になっちゃって残念がっている自分がいるからかなぁ。

    青春事情、男性陣に力の抜けた会話の面白さがあればもっと変化がついて面白いと思う。
    めちゃめちゃ子どもなテンションと、大人の間と声。
    いやでも大人になってしまった私としては
    その両方でノスタルジーが完成するから。

    それにしても影やん、最初は頼りなかったけど等身大の良い先生だ。
    くじけずに教師を続けて欲しいと思わせるキャラ。
    用務員さん(鈴木規史)のリレーの実況中継をするキャラもよかった。
    それと二宮金次郎の学校の怪談(?)、あれが利いていて可笑しかった。
    大魔神みたいな顔した金次郎が教室横切って窓から出て行くし(確か2階…)。

    「もう帰る時間だよ~」と鳴るパンザマスト。
    でもまだ帰りたくない…、大人になんかなりたくないもん…。


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    2012/06/30 01:04

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