記憶、或いは辺境 公演情報 風琴工房「記憶、或いは辺境」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    真っ直ぐな気持ちや生き方
    太平洋戦争末期から戦後の樺太(サハリン)で暮らしている親の代から続いている理髪店を舞台にした、約8年間に渡る真摯で愛情ある舞台。

    この時代の市井の人々の日常生活を描いているだけなのに、戦争が重くのしかかり、過ぎていく。
    その当時の思想、民族、本土、樺太、日本人、男と女。
    感情に流されず、だけど冷徹になる訳でなく、真っ直ぐな気持ちや生き方がだた素直に胸を打つ。

    ネタバレBOX

    理髪店の兄妹が小樽?に引き上げる事になり、理髪店は朴が引き継ぐ。
    朴は戦争前に結婚しているが、その生活も半年位で愛情も芽生える前に日本に来た。生まれてきた国のシステム上、妹と結婚する事は出来ない。言葉では表してないが、互いに惹かれ合っているのは周囲の目からも薄々わかっていた妹と朴。
    店を出た妹が「10分だけ」と戻ってきて髪を切ってほしい、と言う。
    妹はサハリンに残る決心をし、朝鮮人の女友達から教わった朝鮮語で、鏡ごしに「サランヘヨ/愛しています」と告白するが、彼の決意は変わらず引き継いだ「津田理髪店」の看板と共に一人で生きる事に。
    朴の愛しい人の事を思いながら漂う静かな幕切れが印象的。
    ラブストーリーと言ってしまえば簡単だが、この手の作品は見る方の人生観も反映しているような気がする。

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    2012/06/28 01:38

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