満足度★★★★★
これは良作。とてもうまくいっている翻訳劇。
翻訳劇を成立させるのは、日本人のホンのそれよりも数段ハードルが高いと思います。しかし研究を積み重ねて細心の注意を払って作り込めば、違う文化圏の表現でも日本の観客に伝えることが十分可能だと、再認識させられました。
今回の芝居について言えば、英国人が普通にするであろう振る舞いや相手に対する言葉のかけ方を写実的に演技することを基調としています。しかしそれが上辺だけの物まねになってしまうと、リアリティのないペラペラなよその国のお芝居になってしまう。そこでおそらく演出は、ポーカーうんぬんをモチーフにしてはいるが人間をきちんと描いた作品だ、というような方針を立て、役者に舞台上でちゃんと相手役とぶつかることを要求したのだと思います。だから、熱い芝居になったのでしょう。これらの要素を両立させるのは、相当難しいと思います。でもそれができたからクオリティが高い芝居になったということでしょう。
あと、英国の労働者階級の人間臭さを生々しく描いた緻密な脚本がいいことが前提としてあります。
暇があったら、ポーカーを本格的にやってみたいな~。