満足度★★★
ファンタジーと現実の交差点
宮沢賢治はよく取り上げられる題材ですが、とても難しい題材でもあります。表面的なファンタジーばかりに気をとられれば浅薄に、といってシリアスなテーマにばかり関心を向ければその世界は貧しくなってしまうのです。
空想組曲は、人間の心理、その葛藤のドラマを、ダイナミックな虚構(ファンタジー)の中で浮かび上がらせることを得意としています。今回の舞台では、ひきこもりの主人公の生きる現実界と「銀河鉄道の夜」の世界とが並行して描かれます。それは空想組曲の作風とも確かに呼応するもので、宮沢賢治をただのメルヘンにしない、面白い取り組みだったと思います。
また、小玉久仁子さんや牛水里美さんの存在感も絶品でした。