深海のカンパネルラ 公演情報 空想組曲「深海のカンパネルラ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    ファンタジーと現実の交差点
    宮沢賢治はよく取り上げられる題材ですが、とても難しい題材でもあります。表面的なファンタジーばかりに気をとられれば浅薄に、といってシリアスなテーマにばかり関心を向ければその世界は貧しくなってしまうのです。

    空想組曲は、人間の心理、その葛藤のドラマを、ダイナミックな虚構(ファンタジー)の中で浮かび上がらせることを得意としています。今回の舞台では、ひきこもりの主人公の生きる現実界と「銀河鉄道の夜」の世界とが並行して描かれます。それは空想組曲の作風とも確かに呼応するもので、宮沢賢治をただのメルヘンにしない、面白い取り組みだったと思います。

    また、小玉久仁子さんや牛水里美さんの存在感も絶品でした。









    ネタバレBOX

    額縁舞台の中に、さらに箱形の構造物を置いた舞台はシンプルかつ重層的で、ここに描かれる世界の膨らみを十分に予感させるものでした。惜しむらくは、その語り口が、オリジナル部分や虚構と現実との交差点よりは、「銀河鉄道の夜」に描かれた道程を辿ることにやや傾いてしまったことでしょうか。いっそ、もっと「銀河鉄道の夜」を解体してみてもよかったのかもしれません。もともと、その手法、想像力には定評のある空想組曲ですから、ファンタジーの世界も、現実の問題も、より鮮やかに豊かになったに違いありません。

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    2012/06/09 11:13

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