満足度★★★
夢ってサイケデリック
「これは夢の話です」と言い切ってしまうことで、かえって表現の範囲が広がるという構造は面白かったと思います。範宙遊泳らしいトリック。入口でチケットの代わりにピンポン玉が渡されるのも、もう演出なのか意表を突かれて面白かったです。
とにかく今回は、熊川ふみさんの魅力に尽きます! 所狭しと飛び回る身体、クルクルと変わる表情、七色の声を駆使して変幻自在に夢の多重構造の世界へ観客を引き込んでいってくれました。
内容は、もう少し物語が欲しかったところ。もっと何も考えずに見られたらよかったのかなぁ。でも、考えずにはいられないのです。クライマックスのピンポン玉は衝撃的。めくるめく夢の世界の狭間にふっと訪れる目覚めの瞬間があまりに静かでリアルでドキッとしました。このリアルこそが現実。