ともだちのそうしき 公演情報 RONNIE ROCKET「ともだちのそうしき」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    いろんなバージョンを観る楽しさも
    女性2人バージョンの内ふた組を拝見。

    それぞれの世界の完成度に加えて
    バージョン感のテイストの異なりも面白くて。

    作品の懐の深さを実感

    ネタバレBOX

    この作品は演劇形式でもリーディングでも何度も見て
    内容もよく知っている作品なのですが
    にもかかわらず、それぞれの役者たちが織りなす時間に、
    観る側が既知の作品であることを忘れさせる
    豊かなテイストがあって、
    しっかりとその流れを追わせてくれる。

    17時の回は冒頭からキャラクターがしっかりと作りこまれていて
    観る側をあっという間に二人の時間に引き入れる力があって・・・。

    二人がそれぞれに戯曲を読み込んでいて、
    お互いの手の内に作品の流れが明確にあって
    だからこそのしっかり見切った距離感や
    阿吽の呼吸が生まれていて。
    でも、そこに収まるという感じが役者に観られないのが凄く良い。
    醸し出された膨らみから、
    互いに踏み出し
    さらに生みだされたビビッドな奥行きには
    戯曲の行間をさらに超えた
    ふたりの空間を感じて。

    両方とも関西出身の役者さんなので、
    個人的にそのキャラクターの染め方や
    間のとり方にも、抜群の安定感があって、
    しかも、空気が貫かれていても、
    佇んだり澱んだり硬直することなく
    しなやかに膨らんでいく。

    ほんと、満ちたパフォーマンスでした。

    20時の回、前回の公演と同じ役者での公演予定が
    そのうちの一人が急病とのことで
    急遽代役を立てての公演。
    稽古も通常よりはるかに少ない状態での
    本番だったそう。

    でも、二人の役者たちは
    焦ることなく、たがいに空気を探りながら
    ゆっくりと自らのペースを撚り込んで
    その場の物語を組み上げ、広げていく。
    冒頭の数分には、
    観る側にも息をつめて、
    二人に現れるテイストを探る感じがあったのですが、
    それが、戯曲に重なり始めると
    これまでのどのバージョンにもなかった
    初対面の場のリアリティに変わって・・・。

    一旦物語が解け始めると
    それぞれの役者たちが
    自らの紡ぎあげる色を楽しむような風情が生まれ始める。
    刹那にそれぞれが自らの世界を組み込み、
    すると、それを受け取り自らにとり込んでの
    色のふくらみが生まれていく。
    そのシーンごとの空気が、
    観る側を強く惹きつけてくれる。

    本当に一瞬の空気の澱みや
    投げっぱになった印象がなかったわけではないのですが、
    それも含めて、場に現れてくるものに、
    これまでのバージョンとは異なる
    様々なフォーカスのビビッドなおもしろさがあって
    気が付けば二人が互いに醸し出す世界に
    すっかりと身を委ねてしまっていて。

    前回観た、予定されていた役者の方でのバージョンも
    非常に高い完成度があって
    囚われてしまったのですが、
    今回のバージョンには、
    それと全く異なるベクトルの吸引力が生まれていて。

    このフォーマットの懐に深さに舌を巻き、
    さらにいろんな役者さんが、
    そのパフォーマンスで生みだす世界を
    観たいと強く思いました。



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    2012/06/02 07:06

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