サロメ 公演情報 新国立劇場「サロメ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    「悦び」に「呪われている」サロメ
    多部未華子のサロメが絶品です。もう他の人が二度と演じることできなくなるんじゃないかと思うぐらいコケティッシュで愛らしくそして残酷な本物のサロメでした。(しかし調べてみるとかつて三島由紀夫が演出し岸田今日子がサロメを演じた「サロメ」があったり、日本で最初にやられた「サロメ」は松井須磨子がサロメだったらしい、いずれももう観ることはできないが観てみたい)

    そして、新国立劇場・中劇場の空間を生かしきった素晴らしき美術と演出。S席7350円そりゃかかるだろうと納得の舞台。金を使った舞台はちゃんとああいうことで驚かせてくれないといけないと思うのです。そうして快感を得ることができます。成河、奥田瑛二、麻美れい、キャスティングはばっちりです。初日ゆえ、少々とちりがあったけど、そんなの関係ない。大満足でした。

    「金閣寺」に続き宮本亜門さんてすごいと思わされました。

    ネタバレBOX

    多部未華子ちゃんのサロメは、満島ひかり!?と思うような悪魔的演技。誰かに似ているなんて言われることが女優としてうれしいことではないのは承知ながら、あのかわいさとエロティックとそして残酷と、ほんとうに満島ひかりかと思いました。同行の三元くんも(彼は満島ひかりと舞台で共演している)同じ感想でした。ま、そんなことはよく(^^;とにもかくにも、多部未華子ちゃんのサロメは絶対的に必見です。

    美術も、あの深い奈落、奥行きを使った演出は素晴らしいと思いました。天井の鏡も、それが普段からあることによる幻想的な絵柄もさりながら、最後のあふれる血潮をよくよく見せるために非常に効果的でした。

    ただ、役者が落ちてしまいそうでひやひやしました。奥田さんとか台詞噛んでふらふらなのに、あの縁まで攻めていた。あそこ落ちたら下手したら死にます。事故らないかと心配でした。

    多部ちゃんもヒール履いて梯子上り下りするのも落ちるんじゃないかと心配。替えが無い身体と才能ですので気をつけてもらいたい。

    多部ちゃんのネックレスが本来の演出と間違えた場所で切れて散らばった時も、それがたまたまあの縁であったから、誰か踏んでこけて落っこちてしまうのではないかと不安でした。

    しかし、あのギリギリ感が、血なまぐさい作品の背景の醸成に貢献していたのも事実なので、むつかしい。心配だけども何事もないように千秋楽までいってほしいと願います。

    成河のヨカナーンもすばらしい。そして、ヨカナーンとサロメの2人の場面というか恋の場面というのか、ドキドキしました。あれは確実に前列是見た方がいいですね。僕は3列目でしたのでかなりばっちり見えて。(美術的なこともあり、引きでみても良いのでしょうから、贅沢を言うなら、近くで役者を、遠くで全体をと2回観たい舞台です)

    ただ、ヨカナーンについては舞台の始まる前から奈落にいるのに、明かりが無いために、気付いていない客もいるんじゃないかと心配です。たしかに台詞に暗闇にいるヨカナーン的なことがあったので暗闇であるべきですが、ちょろっと斜めから照明を当てるとかして、油で光る筋肉が浮かぶくらいのあれはありで、奈落をもう少しだけ見せた方がいいのかなと。わかりませんが。見えなくていいと言う演出意図なんだろうとも思うので。

    問題は、やはりユダヤ人、ナザレ人、サドカイ人、ファリサイ人などの対立的な所、東洋人の僕らには知識が薄いこともあり、いまいちわからない。これは原作がそうなのでいかんともしがたいのでしょうし、服装などで判りやすくしようと言う演出意図は見えましたが、サロメ、ヨカナーンのところなどがぐっと面白かったことに比べると、やはり伝わりづらい。なにか工夫があるといいのですが。

    そして、この投降タイトルの『「悦び」に「呪われている」サロメ』ですが、これは光文社文庫「サロメ」平野啓一郎さん訳の訳者あとがきを読んでもらえるとわかるのですが、というかこの訳者あとがき、サロメを見た後にぜひ読んでみてください。より深くサロメを理解することができます。お勧めです。

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    2012/06/01 06:58

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  • どうでしたか!?

    2012/06/07 08:25

    まつがえさんの「観て来た」コメントで(観る前からネタバレも読むタイプ)、がんばって前列3列以内を取りました~。
    楽しみです。
    教えてくれてありがとうございます。

    2012/06/06 22:50

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