満足度★★★★
刀
感心したのは、時代考証である。ずいぶん若い人の多い劇団なのに、主君の前に坐った武士は、ちゃんと刀を右手に置いていたのである。これは、敵意の無いことを示す所作なのだが、細かいところまできちんと対応した上で芝居作りをしていることに驚かされた。また、殺陣が非常に上手い。
シナリオも分かり易く、盛り上げるべき所はきちんと盛り上げ、笑いの要素、生き様、信義、偏見と恐れなどのシリアスな部分を、無理なく融合させてエンターテインメントとしても十分に面白く仕立てながら、内容的にも考えさせるものを作り上げていた。
役者たちの身体鍛錬もなかなかのもの。先ほど既に書いたが、殺陣の上手さばかりでなく、ユーモアのセンス、間の取り方、激しい動きの中でも科白が通るだけの鍛錬には、普段の努力を感じた。