恋に生きる人 公演情報 月刊「根本宗子」「恋に生きる人」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    圧倒的に面白いその上に
    中盤に傑出したシーンがあって。
    でも、それが作品のメインディッシュで終わるのではなく、
    そこからさらに浮かび上がってくるものがあって。

    観終わって暫くボーっとするくらい、がっつりと楽しめました。

    傑出した舞台だと思います。

    ネタバレBOX

    キャラクターの作り方がとてもしっかりしていて、
    冒頭のバイトリーダーと新人の会話の部分から、
    それぞれの性格がくっきりと浮かび上がる。
    そして、二人の関係の進展からも、
    とてもナチュラルにそれぞれの想いの肌触りが伝わってきて。

    そこからさらに現れる登場人物たちにしても、
    個性は強いのですが、
    奇異な存在とは感じられない不思議な実存感があって。
    なんだろ、気持ちの描きこみがとても細かくなされていて、
    よしんば現実感からの踏み出しがあったりしても
    観る側があざとさを感じることなく、
    どこかに居ても可笑しくないラインの内側で
    キャラクターたちの雰囲気を受け止めてしまう。

    きっと、作り手には、
    世の「人」物のありようを
    常ならぬ観察力と感性ととも眺めて蓄えて
    描きだす力があるのだと思うのですよ。
    だから、彼女と元カノと、
    その彼女の友人であり元カノから彼を寝とった相手が
    一つの空間に置かれても、
    キャラクター達の身勝手な線引きによる
    愛憎や関係性の生まれ方や変化が
    絵空事やカオスにならず
    一人ずつの個性に導かれた必然として推移し
    科学反応が順序を踏んで進むがごとく
    無理なく流れ膨らみ、
    観る側に踏み出してくるのです。
    筋は通っていても予想のつかない刹那のひとつずつが、
    もう、とてつもなく可笑しくて。

    しかも、その笑いで
    物語が熟し切ってしまうわけではない。
    そこから元カノがイマカノのために
    さらにダメ男の特訓を始めるという展開も
    滑稽で突飛でありながら、
    そこには描きだされた女性の
    想いの深層にあるであろう感覚が
    実存感を伴って織りあげられていて。

    ラストシーンの男とモトカノからやってくる
    男と女の「相性」の質感がものすごくよくて、
    しかも、そこには、突飛に表現されるのではなく
    物語を貫いて描かれていたことも思いあたる
    また、女友達がよりを戻すあたりにも
    女性の感覚として偽りのないものを感じるのです。

    作り手の「人」の勘所を描く力に舌を巻きつつ、
    さらに、
    彼女が人を置いて動かす手腕というか彼女流のやりかたを
    手のうちに納めたようにも思えて。

    今回の作品から醸し出されたテイストに
    愛で浸りつつ
    次の公演が本当に待ち遠しくなりました

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    2012/05/15 01:16

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