満足度★★★★★
「なんでもない毎日」の幸福感。
3年ぶりの再演だそうですが、日本では3.11前と後では、意味が違ってきてしまった。
特別なことも何もない、毎日の繰り返し、家族との生活。
昔なら、そんな日常を打破することに価値を見出していたのに、
今ではそんな日常が何と幸福だったことか、失って初めて気付かされる。
両方の祖父母4人と孫1人の組み合わせも珍しいかもしれませんが、
みんなでワイワイと、日常のやり取りをしているのを観ているだけでも面白い。
特に景子おばぁちゃんは、ずっとみんながおなかすいていないか気にして、
料理をつくっているだけ(+少しダンス)なのに、なんとかわいらしいことか。
客観的に見れば、実際に毎日一緒にいたら、劇中の孫のように、
邪険に扱ってしまうかもしれませんが。
物語も、結局、都合良くうまくまとまったりせず、かといって悲観的にもならない、
リアルな結末も良かったと思います。
「テンゴ、ファミーリア」家族を養う、という加藤さん演じる祖父のセリフに、少し後ろめたい自分でした。