満足度★★★★
懺悔の歌とダンス
ラ・フォル・ジュルネ恒例の、生演奏と勅使川原三郎さんのダンスのコラボレーション公演で、今回は無伴奏合唱による宗教曲でした。1回だけの公演でしたが、しっかり構成された照明の演出もあり、充実した内容でした。
民謡的な軽やかさのある『晩祷、首誦聖詠』から始まり、男声のみによる中世風の厳かな『沈黙の光』を経て、『カノン・ポヤカネン』からの抜粋が続けて演奏され、前半は勅使川原さんと佐東利穂子さんのデュオおよびソロが続き、途中で5人のダンサーが静かに現れ、終盤は4人のダンサーがセンターで痙攣するような動きを繰り返す中、勅使川原さんと佐東さんが激しく踊る構成でした。
具体的なストーリーはありませんが、ストイックに踊る姿が自らの罪を嘆き、神に懺悔し祈るかのように見え、深く胸を打ちました。
足を床から離さず滑るように移動する動きが、静かな曲調に合っていました。滑らかな腕の軌跡が美しかったです。
ヤーン=エイク・トゥルヴェさんが指揮するヴォックス・クラマンティスの澄んだ響きが美しく、特に声部によっては1分間以上同じ音を伸ばしているだけのこともあるような単純な構造で劇的な展開がない『カノン・ポヤカネン』を高い集中力で演奏していて素晴らしかったです。
ダンサーだけでなく合唱団にも影の効果を考えた照明が当てられていて神々しい雰囲気が醸し出されていました。