満足度★★★
驚異的な身体表現
人間に進化した猿がある学会で自分のことを語るという、寓意的な短編小説を一人芝居に仕立てた作品で、キャサリン・ハンターさんの優れた身体表現が際立っていました。
上に「非常口」のランプが輝く、上手のドアから入場し、客に拍手を要求するように何度もお辞儀をするところから始まって原作通りに展開し、「自由」ではなく「出口」を求める姿を通じて、人間も同じではないのかと考えさせる物語でした。
観客が作品中の学会の出席者に見立てられていたので、客席に入ってきて客いじりをするのも違和感がなく、自然な流れで笑いを誘っていました。
人間になった猿を人間が演じるという込み入った設定ですが、姿勢や表情や仕草が絶妙で説得力がありました。腕の使い方が素晴らしかったです。また、カーテンコールの際の雰囲気が演技中と全然異なっていて驚きました。
ユーモラスで且つ得体の知れない怖さもある演技が素晴らしく、存分に堪能しましたが、演技の印象ばかりが強くて作品全体としてもう少し押しが強くても良いと思いました。