期待度♪♪♪♪♪
イッセー尾形、最後の舞台
イッセー尾形が、今夏をもって、舞台活動を「休止」する。
DMによれば、「今後は映像活動に専念する」とあったから、実質、舞台からは「引退」ということだ。イッセー氏の気が変わって、再び舞台に立たれる日が来るのかどうか、それは分からないが、「小倉でお会いできるのは最後です」という文面からは、還暦を機に、やれることは絞っていこうという意志が伺える。
小倉には年1回、博多には年2回、イッセー氏は必ず公演に来てくれていた。だから毎回チケット完売でうっかり購入し損なう時があっても、「次の機会があるからいいや」という気分でいたこともあった。しかし、物事には必ず終わりが来る。イッセー尾形の真骨頂は、誰も真似のできない一人芝居のスタイルを確立したことだ。スタニスラフスキーもアクターズ・メソッドも否定し、カリカチュアされた表現でありながら、後の現代口語演劇が達成したリアルなスタイル以上のリアルさを客席に届けてくれていた。
もうそれを生で眼にすることは叶わなくなる。小倉公演の後も、東京公演など、いくつかの舞台が残っているが、九州の私たちが「イッセー尾形とは何だったのか」を考える機会は、これが最後になる。チケットの発売日を忘れないようにしよう。