満足度★★★
何が足りなかったのかなと考えてみる
普段は偉そうに「何が足りなかったか」・・なんてことは
言わないのですが(汗
別にこの劇団さんに限ったことではなく、
わりと一般的な劇団に見られる現象かな・・とも思ったので。
ちなみに、悪いところがあるなどとは一言も言ってなくて、
逆に新しい柔らかな感性などというのはとても面白かっただけに、
ちょっと書いてみるだけで。
ちなみに、自分の星の基準というのは、
自分の好みではなくて、
こういう足りないところがあって
勿体ないな・・というときに
あえて書くようなもので、
自分の好みのようなものは年間ランキングに入れようかと・・。
先週、火曜に関西でピンク地底人を観て、
東京に戻ってきてから昨日の土曜日までに、
サンプル、北京、毛皮、そしてこの範宙を観ました・・。
みんなバラバラで、多様性に富んでいて・・。
そうして考えたときに、自分が火曜~土曜にかけて観た劇団について、
範宙以外は、すべて、自分の持ち味を出し切っているな・・と思ったりもしたのです。
わりと振り切れていると思われた他のすべての劇団に対して、
範宙はちょっと中途半端なスタンスだった気がする。
リズムが単調だったというのもある。
自分が観た回ではアフタートークで武田氏が、
(日本)文学も、自分たちはクラブ(音楽)と同じように楽しめる世代にある、と
言っていました。
・・そういえばな~とも思い返してみる。
クラブと一般的に呼ばれる所の音楽
(自分は夜遅くまで起きるのが苦手なのであまり行ったことはないですが・・早い時間帯だけ(汗)
の多くが、生音で打ち込む音楽に比べると詰まらないものが多い・・
(踊り手と煽り合うJUKEや、バルカンビートなどの躍動感と比べると、死人のように感じることもある)
・・ねぇ、ちょっと、ああいうのを生きてる演劇の手本にしてはいけないヨ、と思ってみる(苦笑
演劇とは生の打ち込みなのだし、
おまけにエンドレスの「夢」で行くのだから、
もっとビートを体にしみこませるみたく、
踊るように語ったほうが良かったんじゃないカナ、とも思ったり。
そういう意味では、毛皮は、グダグダだけど(そしてそれが味でもある)、踊るように語ってた(笑
そしてもういっこ。
これは範宙だけでなくロロなどいくつかの
これから賞を取りそうだったり、取ったいくつかの劇団に言えるのだけれど・・
ちょっと軽い。
舞台と言うのは正直なもので、
それまでその作品を捏ね上げるために
自分がどれだけ血と汗を注いできたかというのが如実に出る。
作品の生まれた街の匂いも宿す。
例えば作るまでに何年も掛かったという、同じ春風舎で上演した
ひよどり山、あるいは刹那を切り取った1月の「雪」。
若手で言うなら、火曜のピンク地底人の公演も、
わずか60分だったけれど、
何もかも失った「母親」について、
想像力の限りを尽くして描こうとしていたように感じた。
東京での公演と言うのは、
周囲の期待もあるのか?
有望な若手ほどハイペースな公演になりがちのように思う。
そして観る度に、
「もっと自分たちの中でこの物語を熟成させて、
人びとの陰影を心の中に刻み込んでから、
作品を生み出した方がよかったんじゃないか・・」
と思うことが非常に多い。
そうした早産の子供たちを観るたびに、
もっと一年二年気長に観客たちが忘れないで、のんびりと次の子の誕生を待つだけの心構えが必要なのではないかな、とも思う。
自分はジャンプも好きだが、ガロはもっと好きで(苦笑
新作を何年も何年も待ち続けている作家が何人もいる。
彼らの今までの珠玉の作品を読むたびに、
未成熟のまま自分の想像力の産物を野に放つことには
何の意味もないと思ったりする・・。