嵐が丘 公演情報 ナカゴー「嵐が丘」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    秀逸なジャズセッションの趣き
    物語に貫かれたものも、
    しなやかに回収されていましたが、
    それよりも、なによりも、
    中盤のシーンが圧倒的でした。

    これまでの作品とは、
    また一味違った進化を感じました。

    ネタバレBOX

    冒頭のシーンなども
    じわっと可笑しいのですが、
    そのへたうま感のなかに、
    伏線などもしらっと張られていて、
    観客に物語の構成がゆるっと焼き付けられて。

    で、導かれた誕生パーティのシーンがともかくも圧巻、
    冒頭からのシーンの繋がりで
    登場人物がしたたかに場に集められてからの
    展開がものすごいことになっていく。

    娘とその一学年上の来訪者の誕生日会という設定が
    大人たちの宴会の態に変わっていく。
    その酩酊していく表現の重なりが出色の出来。
    父母や来訪者の兄、
    さらには娘の担任の先生の酔っ払っていく雰囲気が
    ジャズのソロを繋いでいくような感じに作られていて、
    場が次第に揺らぎと熱を持ち始め
    腰に根が生えた宴席の趣に変わっていく。
    適度に互いが絡み合う中、
    そのソリストのひとりずつに
    すっと目を惹くような踏み出しから
    ここ一番の突き抜けに至る場が供されて
    本音トークのグルーブ感が醸し出されていく。
    上手側でひたすらトランプを続ける同級生が
    場のベーストーンとなり、
    大人たちの話の相手を強いられる女学生の
    場をけなげに守るリズムキープも
    場の土台をささえ、全体をさらに膨らませて・・・。

    実は父親の説教にしても、
    同級生の兄の年相応の突っ張り方にしても
    母親の本音トークにしても
    先生の本心の露出にしても
    ラフさのまったくない実に精緻なお芝居なわけで、
    にも関わらず、場のメートルがどんどん上がっていくような
    このセッションの作劇はかなり凄い。
    しかも、恐ろしいことに
    ジャズの高揚同様に、
    十分に楽しんでお腹いっぱいなはずなのに、
    もっと行けるんじゃないか的な
    期待までが芽生え始めたりもして・・。

    ここまでに場が熱を持つと
    終盤のけれんもまったくへたれない。
    それどころか、ここまでやってくれないと
    場の収まりがつかないような感じすらなっていて。
    鬼役の役者の献身的な演技も報われた感じ。

    観終わって、作り手のセンスにぞくっとなる。
    また、劇団や作り手の更なる進化を感じたりもして。

    本当に面白かったです。

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    2012/04/22 10:31

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