満足度★★★
巧みな構成
チェーホフの短編小説6本を互いに関連するように構成した作品で、シリアスな雰囲気からドタバタまで様々な場面があり、6人の役者それぞれに見せ場がある、巧みに作られていました。
15年の幽閉生活に耐えることが出来れば200万ルーブルを与えるという賭けを提案した頭取と、その賭けに乗った法律家の物語をベースに、シニカルでコミカルなエピソードが劇中劇的に展開し、時系列を遡っていく構成にサスペンス性も感じられて興味深かったです。
『賭け』以外の5編の物語がそれぞれ『賭け』と関連を持たせているのは勿論のこと、5編の間でも共通のモチーフが使われているのも楽しく、終盤にそれまでに出てきた台詞がコラージュされて現れるのも面白かったてす。
中央にテーブルが置かれた1段上がったステージの上で基本的には演じられ、出番がないときも隅に座っている演出が劇中劇的な感じを高めていました。ステージを跨ぐ様に架けられた大きなプロセニアム・アーチも効果的でした。
途中で出てくる台詞に則した選曲をしているかと思っていたのですが、そうではない曲が使われていたのが残念に思いました。
脚本、演出、演技とも高いレベルだと思いましたが、まとまりが良すぎて優等生的な雰囲気を感じました。贅沢な望みですが、もっと強烈な個性を感じさせて欲しかったです。