深海のカンパネルラ 公演情報 空想組曲「深海のカンパネルラ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    こわい話
    前半の方が面白く感じた。「銀河鉄道の夜」は未読。

    ネタバレBOX

    学生のりく(多田直人)の友人・けんじ(篤海)が溺死し、りくはショックで精神異常をきたし、けんじからもらった小説「銀河鉄道の夜」の世界へ、自身やけんじの存在を妄想するようになる。りくの妄想は、現実の記憶とは離れ、けんじの存在も見失いかけるが、先生・宮沢賢治(中田顕史郎)の話などから、記憶のけんじを呼び戻し、その死の悲しみを乗り越える。

    序盤から、不穏な空気がつきまとう感覚。徐々に、りくの異常な精神状態や過去の友人関係などが明らかになるほど、空気がさらに濃く深くなる。ひみか(川田希)の姉としての心配とか、みかげ(渡邊とかげ)の告白とか、たくみ(二瓶拓也)との決別とかのからみも、話を引き立てまくる。特に、いじめっ子の柴実(石黒圭一郎)は、その嫌な感じがウマい。けんじ死亡の原因というからませ方と、ひみかに土下座されてりくに会いにくる(本人も本当は来たかったのか)ってのも、物語にいい感じに作用してた。

    基本暗い話の中で、魚心先生ほかを演じた(小玉久仁子)のパンチの利いたキャラがほっとさせる。しかも、ただ笑わせるだけでなく、スーパーのパートのおばちゃんとして、アドバイスし、りくの固くなった心を緩める。ひとのことはわからないとかね。まあ、単純に、魚座の女王は面白かった。

    終盤、けんじの死を受け入れたりくの心が開かれるように、舞台の可動セットも動き、開放感のある舞台面に。そこで交わされる、在りし日の友情。りくとけんじはそれぞれの世界へ足を進めてエンド。ただ、前半の(個人的な)盛り上がりに比して、グッとこなかったなと感じた。決して悪くないんだけど。

    こわい話。理不尽な悲劇を受け止めざるを得ない時、どうそれを乗り越えるのか。その時そばに誰かいることの大切さ。そばに何人もいてくれたりくは、「上等」なんだと思った。

    「死に意味をもたせる自分」ってセリフが気に入った。

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    2012/04/21 23:40

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