満足度★★★★
哀しいほどにアツい。
スズナリの場内に入ると、もうそこは貧民窟(ま、スズナリの建物自体も相当なもんだが)。すごいセットだ。
席にバッグを置いて、軽めの夕食に、スズナリ&シアター711で観る時は「たいていココ」の四文屋なん八へ。黒ビールそして禁断の食べ物になりつつある一品等々を腹に流し込む。
席について(ベンチシート)、セットを見上げれば、自分がこの貧民窟の住人になったよう。舞台上で、江戸の女男が、語り生き死に笑い諦め怒り歌い踊り食べ呑み、また語り笑い怒り飲み食べ・・・。
ここの住人になったような気分になってるのに、その中に入れないのがもどかしいくらいに、それぞれの人が「濃ゆくて魅力ある、思わず話したくなっちまう人たち」なんだよなあ。
でもさ、ロレツのまわらない役者だって、落語『お直し』のカミさんのような遊女だって、紙屑ひろいのオバチャンだって、艱難辛苦乗り越えたイイ顔してるんだけど、あのなりのままで、山手線内で会ったら、同じように触れ合えるんだろうか・・・。 思わず「街に出る時ゃ、小奇麗にせい!」って説教しちまいそうだ(←なんかダメな気がする、人間として)。
結局のところ「ボクは、ココには絶対に染まらない」という感情があるからこその「イイ顔してるなあ」なのかなあ。
だからなのか、「俺は必ずここを出る」と言ってた磨き屋の男が、最後に踊り狂う場面・・・これにはグッときた。思いがあふれた。
どん底でも、力強く、したたかに、あたたかく、泣いて笑って生きて行く人たち。魅力的なんだけど、目先のことでいっぱいいっぱいになってる人たち。店賃がロハになったところで、どうなるものか。。。
なんか、いろんな思いが寄せてきたなあ。
スズナリからの帰り道。心の中は熱熱でした。