農業少女 公演情報 アシカツ(明日カツ丼!企画)「農業少女」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    Aキャストを観ました
    アシカツは、野田秀樹の戯曲の上演を続けているプロデュース・ユニット。

    主宰の添野豪さんは、ほかのお芝居に出ているときも、まるで野田作品の登場人物を連想させるような

    ときがあるのだが、体に野田作品がしみこんでいるのだそうだ。

    妥協せず、納得できるかたちで上演するために、働きながら費用を貯めるので、3年に一度くらいしか上演できないという。


    私がこの戯曲の上演を最初に観たのは、明治大学の老舗劇団である劇団螺船によるものだったが、諷刺がこめられ、

    面白い作品だという印象が強く残った。


    今回のアシカツ版はそれをさらに立体的にした感じで、東京芸術劇場の上演のものと比べてもひけをとらない出来だったと思う。

    電動夏子安置システムの澤村一博さんが本作で俳優活動を休止されるとのことで、Aキャストを観た。

    朝から暴風雨の吹き荒れた日の観劇で、交通も乱れ、心配したが、終演後は雨も小やみになっていた。

    ネタバレBOX

    私はd-倉庫という劇場が?観やすさの点で、あまり好きではなく、いつもはついついパスしてしまう。

    ところが、今回、場内に入り、舞台を底上げして、いつもと観客の目線を変えてあり、とても観やすく工夫されていたので、

    嬉しかった。

    役者の動線も追いやすく、視界が良くなっている。

    配役が想像通りで、添野の都罪、澤村の山本。何度も共演して息が合っている2人だけに楽しめた。


    役者として私が観始めたころの添野は体形もぽっちゃりして、おっとりした善人役が似合う人だったが、その後、

    体重を絞り、非常にスリムに変身した。

    その甲斐あってか、動きにキレがあり、リズミカルな演技をみせる。

    澤村は前回の「カノン」のときもそうだったが、難解な野田作品の一見奇怪な人物も、彼が演じるとリアリティーが出てくるので物語が理解しやすくなるのが長所だ。

    翻弄される役どころも合っている。

    新野のドリームガールは予想から言うともう少し弾けるかと思ったが、意外におとなしく、かすんでしまったように感じた。

    少女役の浅川薫理は努力賞といったところだろうか。やはり難しい役だと思った。

    時々、「力演している演劇少女」を感じてしまうところがあった。

    パステルカラーで植物を描いたボックスや、電飾をつけたビニールハウスの舞台装置が効果的に使われていた。

    ビニールハウスの遠近感、照明、音響も良かったと思う。

    農業も一過性に消費し、呑み込んでしまう、巨大な都会の偽悪と魔力に思いを致す。

    観るたびに、新鮮さを感じる戯曲だ。


    Aキャスト版しか観ていないが、ラストに電夏のテーマ曲が流れていたのは澤村さんにちなむものだったからなのか。

    0

    2012/04/11 14:28

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大