期待度♪♪♪♪♪
『あゆみ』の更なる一歩を信じて
人によっては、岸田戯曲賞を受賞した『わが星』よりも、この『あゆみ』を評価する声も少なくない。それまでの柴幸男の作品を全て習作と斬って捨てることには異論もあろうが、「柴幸男ここにあり」を世間一般に認知させるに至ったきっかけが、この『あゆみ』であったということなのだろう。
私の柴幸男体験も『わが星』が最初で、『あゆみ』は戯曲も未読なのだが、再演を繰り返している作品であることは情報として知っていたので、観劇できる機会が訪れることを信じて待っていた。個人の日常と世界を二重写しにしていく柴幸男お得意の手法は、『あゆみ』から始まったものだということである。しかし、『わが星』『テトラポット』を経て後の『あゆみ』は、恐らくは更なる進化を遂げて新たな変貌を見せてくれることであろう。戯曲を読むのはそれから後にしたいと思っている。