アイ・アム・アン・エイリアン 公演情報 ユニークポイント「アイ・アム・アン・エイリアン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    物語とは
    答えは出ないけど、それでも生きていくって、やっぱしんどいよなぁ、という感想。

    ネタバレBOX

    私達が求めている物語とは何か。作中にも物語という言葉が出てくるが、言い換えるならば人生を生き抜く為のマニュアル(手引き)だろうか。

    日本初の臓器移植審議会に集められた、無作為に選ばれた市民達は「緊急度も適合率も同じ4歳児の2人の内、どちらに心臓移植をするか」を迫られる。議論をして満場一致で答えを出すという強引さはさておき、とても丁寧に心臓移植の抱える問題を説明していて語られる内容は興味がつきない。ただ物語の核たるものは「心臓移植」ではなく「貧困」だろうと、「二代政党」だろうと構わないと思う。大事な事は、答えの出ない問題に取り組む第三者が、当事者性を獲得する姿にあると思うからだ。実際、言外に3・11の震災が根底に横たわっているのをありありと感じた。

    こうした、哲学的な問答のような物語に向き合う時に、自分がどんな姿勢で観たら良いかがわからなくなる。答えを求めるのは安易だし、現実を当てはめるだけなのも絶望的に思える。だから、答えなど出ないと知りながら、救われたいと願ってしまう。

    世の中がどんなに激変しようと(それはもしかすると3・11を経てもなお)、自分だけは大きな不幸も幸せもない、終わらない日常を生きてる気になっているとして。そうすると、あらゆる問題が他人事だった自分が、当事者になって初めて戸惑い困窮するだろう。そんな時の救いの物語(マニュアル)が本作だとすると心許ない。いや、そもそも物語に救われたいと願う自分の生き方自体が危ういのだろうけど。当事者にならずに今日も生き延びて安心してる僕も、立派なエイリアンだと思う。

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    2012/03/18 22:21

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