ドグラ・マグラ 公演情報 劇団霞座「ドグラ・マグラ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    へたれずに解ききる
    導入部分の作りこみや
    そこに満ちるテンションを観ていて、
    物語が解けきるかが不安だったのですが・・・、
    杞憂でありました。

    へたれずに、したたかに
    原作を知らぬ観客にも
    物語が降りてきました。

    ネタバレBOX

    場内に入り、
    舞台に施された赤と青の質感に
    脳幹と月のイメージの前で開演を待ちます。

    冒頭から20分のテンションに
    圧倒される。
    でも、力技ではあるのですが、
    雑であったり荒っぽい感じはしない・・・。
    しっかりと抑制された精緻さと、
    観る側を凌駕するようなパワーが両立している。

    正直言うと、舞台の密度には強く惹かれたのですが、
    そこから物語が本当に解けて、
    観る側に因果が伝わってくるか少々不安でした。
    その密度に目がなれた観客に、
    へたれることなく
    物語が語られていくのだろうかと・・・。

    でも、まったくの杞憂でした。
    冒頭のテンションとは異なる
    混沌が舞台におかれ観る側をつなぎとめる。
    場ごとに異なる物語の表情が、
    舞台にはまり込んだ観客を
    さらなる展開に引き込んでいく。

    中盤以降、
    役者たちのお芝居のクオリティに
    若干のバラツキがあったり、
    一瞬、間がずれたりといった部分はあったのですが、
    主たる役者達はがっつりと舞台を支えきり
    観る側の意識が
    舞台から離れることはなく、
    ひとつ間違えばいびつに崩れてしまうであろう物語の骨格が
    しっかりと観る側にくみ上げられて。

    場面の切り替え方、
    変化していくものと貫かれていくもの、
    エピソードを膨らませていく語り口などなど、
    作り手の絵図がしたたかに描かれているのだろうと思う。

    恥ずかしながら、
    原作を読んだことがないので
    この狂気の肌触りが原作の世界どおりなのかどうかは
    わかりませんでしたが、
    物語の全容をしっかりと受け取ることができれば
    あとの舞台の味付けは作り手次第なわけで・・・。

    観終わって、とても90分の尺とは思えないほど消耗しましたが
    3分で木戸銭の元をとり
    あとは申し訳ないほど
    がっつり楽しませていただきました。

    よいものを拝見したと思います。


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    2012/03/09 17:30

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