満足度★★
2月28日の回鑑賞
様々なタイプの舞台芸術のオムニバス公演で、長堀博物館◆プロデュース1&2、木皮成+、赤井康弘による4作品が上演された2月28日の回を観ました。
長堀博物館◆プロデュース2『風』(『ハウジング』から改題)
親友の妻と不倫している男がそのことを謝るため親友に会うという物語の3人芝居で、古典的怪談みたいな味わいのある作品でした。下手で揺らめく照明と、舞台の周りをゆっくりと回る真っ白な格好をした女性の姿が幽幻な雰囲気を出していました。
長堀さん独特の文章の終わるひとつ先の単語まで言ってから間を空ける手法は、会話では効果的でしたが、医学書の文章では内容が分かりにくくて逆効果に感じました。
木皮成+『ゆうぐれらしい』
男1+女4人よるダンス作品で、上演されている内容についての自己言及的なコメントが述べられる、メタ構造を用いた見通しの良い構成が気持良かったです。
ただし、振付のボキャブラリーが少なく、ダンサーのレベルはまちまちで、純粋なダンスとしての魅力はあまり感じられませんでした。メタダンスの側面を強調したいのなら、もっとグダグダ感があった方が良いと思いました。
赤井康弘『DELUSION』
ハロルド・ピンター戯曲を昭和な雰囲気が漂う、少々実験的な演出で描いていました。『八月の濡れた砂』(石川セリ)が流れる中、夫婦あるいは恋人同士の男女がタイトル通りの妄想のような噛み合わない会話を続け、ほとんど内容が分かりませんでした。
大きめな音量のBGMは敢えて台詞を聞きにくくする演出意図があったのだとは思いますが、インスト曲か外国語の歌詞の曲にしていれば、音楽と台詞が両立出来たと思います。
長堀博物館◆プロデュース1『紙風船』
岸田國士の有名な小品を比較的ストレートな演出で上演し、少し倦怠感が漂う夫婦が可愛いらしく描かれていました。大畑麻衣子さんの佇まいと声が古風な妻の役に合っていて、良かったです。政井卓実さんの演じた夫も軽妙さが楽しかったのですが、動きや台詞回しが現代的過ぎて大畑さんとのバランスが悪いように感じられました。
床にページ毎にバラバラにした新聞紙を円形に並べ、『ボレロ』が流れる演出は反復や循環といった要素を感じさせましたが、それが戯曲とどう結び付いているのか意図が分かりませんでした。
当日パンフレットがなかったため、チラシに記されていないキャストやスタッフの名前が分からず残念でした。
今まで観たことがなく楽しみにしていた天然果実が長堀博物館◆プロデュース2に変更になったことについて小さな紙が入り口に貼られているだけで、アナウンスがなかったのも不親切に思いました。