【公演終了】ブスサーカス【感想まとめにリンクあります】 公演情報 タカハ劇団「【公演終了】ブスサーカス【感想まとめにリンクあります】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    「やさしさ」の神が支配する
    女の人は、皆コンプレックスを持っている。

    女性にとっては当たり前で、男性は忘れがち。

    女子の和気藹々とした何気ない会話のように男子には見えていても、
    その中に殺意が芽生えるほどの自意識が隠れている。

    そのコンプレックスを溶かすのは何?

    舞台の上で、その答えははっきりと描かれている。
    ちょっとすると男性は見落としてしまうかもしれない。
    けど、女性の観客は見落とさないだろう。

    (以下、ネタバレへ)

    ネタバレBOX

    「33年間生きてきてはじめてかわいいと言ってくれたの」
    という愛人の、自分を事件に巻き込んだヒロシに対しての台詞。

    最初に殺された女性が、
    「あの人(ヒロシ)が私みたいなブス相手にしてくれない」
    と、死ぬ前に言っていた。

    上手く利用された愛人たちが、
    クズと時に呼びながら、
    捨てきれない思いを抱いている男。

    どう考えても届かないと感じてるにも関わらず、
    何故、そんなクズ?を追い求めるのか?
    その男の・・やさしさ?とは何なのか?

    女の人たちは、持って生まれた劣等感のゆえに、
    それを打ち消してくれる言葉を待ち続ける。

    ・・ちょっと立ち止まって観察してみれば、
    その女性にとってのコンプレックスが何か、
    推察するのはそんなに難しくはないと僕はいつも思う。

    なんで多くの男性がそうしたコトバを持たないのか?
    自分の目から見る限り、
    多くの男性は女性に自分の良い所を見せることばかり考えて、
    相手のことをよく見てないからではないかなと思ったりする。
    (なぜ少年のころはあんなにも真っ直ぐで優しかったのに、
    ハタチを過ぎる頃になると、すっかりつまらない人に成り下がったりしてるのか、
    自分には今も理解できない。

    舞台の上には登場してこないものの、
    自分は、たとえヒロシがハゲでもチビでもデブでも別に驚かないだろう。
    (観客の人は、ヒロシがイケメンの類だと頭の中に描いてるかもしれないが、
    果たしてそうだろうか?
    ・・今までの作品を見るかぎり、タカハ劇団でそんな単純なことをするようには
    思えないのだけれど・・
    ヒロシが持っている、他の男には無いもの、
    それは容姿ではなく、言葉だと考えたほうが、物語の主題を考える上では、よりしっくりとくるように自分には思われる・・

    ヒロシが言葉を持っているのは、
    最初の台詞からみて明らかだ。

    舞台上の女子たちが男をクズ呼ばわりするのは、
    男がクズだと自分自身が本当に思っているわけではなく、
    単純に周りにヒロシのことを諦めさせようとしているに過ぎない。

    そして、何度男をクズ呼ばわりされようと、
    どうもだれ一人ヒロシのことを諦めようとしていない。

    これは、醜い劣等感の物語ではなく、
    純粋にコトバ(それが真実の愛的な何かであるかどうかはひどく疑わしいが)
    を切実なまでに追い求める
    女たちの悲しい物語で、ほとんどの女性(美人含む)に共通する悩みだと
    自分には思われる。

    ・・・男子はもっとコトバを磨くよう努力すべきではないかなと思ったりもする。
    (ホスト君たちが廃業するほど)
    皆がもっと豊かなコトバを持ったなら、女子たちもこんな悲壮なまでに
    一人の男にすがりついたりはしなかっただろう(ただ、舞台の上では全然悲壮に見えなかったりもするのが作者の凄いところだ

    この舞台は、センセーショナルな題名と女性たちの狂気じみた表情とは裏腹に、
    舞台の上には全く登場しないクズ男の優しさ(・・なのかははっきりとは描かれないが)
    を通して、多くの男性のコトバの足りなささ、
    そしてそれを切実に(人を殺してまで)求める女子の悲壮さを
    逆に描ききっているのかな、
    という風に自分には感じられました。


    ちょっと、冷静に考えてみれば、
    容姿に魅せられるだけで人を殺す訳はない(想像もつかない
    と自分は強く思うのだけれど・・
    (他の男と自分がちょっとずれてるだけかも・・どうなんざんしょ?(汗

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    2012/02/22 23:14

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