満足度★★
苦い青春
あまり順調ではない生活を送る30代の5人の青春を描いた物語が、歌ありダンスあり、泣きあり笑いありのエンターテインメント性の高い王道的な演出で熱く描かれていました。
幼い頃に「モトコー5」というグループで人気者になったものの、メンバーの1人が行方をくらまして解散し、その後も過去の栄光に未練を持ち、くすぶった生活を続けていた残りの4人が、消えたメンバーが戻って来ることによって、再度活動しようともがくほろ苦い姿を描いた物語で、分かり易い話の展開でした。心情を台詞や演技で説明しすぎていて、薄っぺらく感じました。もう少し観客の想像に任せても良いのではと思いました。大人としての青春との距離に取り方を感じさせる展開だったので仕方がないのかも知れませんが、ラストがあまり盛り上がらず、ちょっと拍子抜けでした。
廣川三憲さんの複数の役の演じ分けは同じ人とは感じさせない程見事で楽しかったです。高田聖子さんは男気溢れる姉の役を演じていて、ともて役にはまっていました。激しく動きながら長台詞をこなすバイタリティや体の張り方が凄かったです。
客入れ時のBGMを含めて、1990年前後のカルチャーが引用されたりパロディにされていましたが、一緒に観に行った友人はその時代を知らない世代だったので全然分からなかったそうで、30歳以上でないと付いて行けないかと思います。パロディはもっと元ネタに対するリスペクトあるいは皮肉を感じさせて欲しかったです。
何度か挿入されるダンスは個人的に好みではないタイプの振付でしたが、全身をダイナミックに使っていて迫力がありました。