ゆめみたい(2LP) 公演情報 中野成樹+フランケンズ「ゆめみたい(2LP)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    一つの物語、見え方の多様性
    席の選び方については
    説明があったのですが、
    それは、観る側の迷いをしっかりと広げる以外の何物でもなく・・・、
    会場に入った時には
    どこに座ろうかとかなり悩みました。

    でも、観終わって、ちょっと場内の他の席にも
    足を運んでみて、
    物語から浮かんでくるものを
    いろんな質感で見せるそのやり方に納得。

    3回観に行けないのがとても残念に思えました。

    ネタバレBOX

    場内に入ると
    舞台中央に大きな壁があって
    客席にまで張りだしている。
    近くにいってみると一応
    壁には通り道があって上手と下手、
    それぞれから制限付きで舞台を見通せるようにはなっていて。

    何度かリピートできるのであれば、
    前方の席に座ったかもしれませんが
    1度しかみることができないので、安全に両方が見渡せる
    中央後方の席をゲット。

    壁を挟んで上手の白っぽく明るいサイドと
    下手の紫っぽく暗い感じのするサイド、
    双方を眺めながら開演を待ちます。
    舞台が始まると
    どこか淡々としたハムレットが始まる。

    役者達にはすっと早い役柄のたち上げがあって。
    描き出すものがとても鮮明で
    ロールの雰囲気がすっと観る側に置かれる。
    しかも、そこから舞台に根を生やすことがなく
    重厚さとか塗りこめるようなお芝居はほとんどなく。
    物語の骨格がどこか線描されていくような感じ。

    そこにはまさにLP2枚分に収められた、
    シェークスピア不朽の名作っぽいエッセンスがあって。
    名場面も強調されることなく
    曲を流し聴くがことく
    ダイジェスト的なハムレットを
    見続けてしまいます。
    舞台から目をそらさせないのは
    役者の力量というのもあって、
    とりあえず、観る側が、舞台上の法則を理解するまで
    語られる物語で観る側を引っ張って行ってくれる。
    そして上手と下手のそれぞれのニュアンス、
    舞台のルール、
    さらには舞台全体を閲覧するような外の視座と
    物語の法則のようなものがわかってくると
    舞台のニュアンスが魔法のようjに浮かび
    面白くなってくるのです。

    中央の壁を0軸として
    立ち位置の座標てきなことや動きのベクトルが
    演技や台詞にニュアンスのタグをつけて
    そこに込められたものをくっきりと浮かび上がらせる。
    通常の舞台であれば、
    耳を研ぎ澄まして
    キャラクターの想いを受け取っていくであろう重厚に演じられる場面が
    重さも身も蓋もなく観る側に示される。
    でも、そこには、物語の構造が
    ちゃんと観る側に残る。

    たとえば、
    ハムレットにしても、
    その壁を行き来するだけで
    ニュアンスになるし
    ラスト近くにフォーティンブラスが上手から現れ
    下手にはけていくだけで
    したたかにニュアンスが浮かび上がってくる。

    物語を見つめる視点が舞台の奥に置かれているのもよい。
    (私が座った場所からは音だけだったけれど)

    これ、面白い・・・。

    *** ***

    終演後、劇場を出る前に、
    舞台そばの客席に座って舞台を観たのですが、
    見えてくる光景が中央と大きく違うことに驚く。
    同じ舞台で同じように演じられているお芝居が
    明らかに全く異なるニュアンスで伝わってくることが
    容易に想像できて・・・。
    遅いといえば遅いのですが
    ここに至って初めて
    客席についての説明の意味を理解することができました。

    日頃、普通の舞台を観ていても
    座る位置で違うものが見えることというのはあるのですが、
    この空間にはにはその違いをさらにあからさまに分光する
    プリズムが据え付けてあるような・・・。

    「ゆめみたい」という作り手の作意を
    受け取ることができたかどうかは定かではありません。
    でも、恣意的に薄っぺらい舞台の描き方だから浮かび上がってくる
    作品の飾られない本質的な部分は
    とてもカジュアルに、しかも多層的に
    舞台から観る側に流し込まれてきて、
    がっつりと心に残ったことでした。




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    2011/12/27 01:30

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