若手演出家サミット2011 公演情報 アトリエ春風舎「若手演出家サミット2011」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    充実した企画
    5人の演出家による10時間ずつのワークショップの成果発表と演出家達のトークを合わせて約2時間半のイベントで、演出家の個性の違いがはっきり出ていて興味深かったです。

    柴幸男『来年の新作の練習』
    ある女性の歴史や住む街を説明する1ページ分程度のテキストを用い、始めは1人で普通に読み上げ、身体表現を加えたり、複数名に割り振ったりして、後半はずっとテキストをループしながら色々演技の仕方を試していました。柴さんが流れを止めずに役者に指示を出していく様子がまるでスポーツの練習みたいで、躍動感がありました。

    藤田貴大『まいにちを朗読する』
    役者それぞれが会場の春風舎までどのようにして来たのか訊いたインタビューが「3年前東京湾に打ち上げられたおばあちゃん」を媒介にして、うっすら繋がりつつ東京の地図が生成される作品でした。マームとジプシーの作品で良く使われる、同じシークエンスを角度を変えつつ繰り返す手法は用いられていませんでしたが、藤田さんらしさが感じられました。

    船岩祐太『シーンスタディx12』
    当日パンフレットに記されたタイトルとは異なり、船岩さんが演技論をひたすら喋り続けるという内容でした。演技における「設定」について、役者同士がお互い設定を共有する必要はない等といった示唆に富む話が面白いエピソードを織り込みながら展開されていました。予備校の熱血講師の様なスタイルでまくし立てる岩船さんの姿がパフォーマンスとしても楽しめました。

    中屋敷法仁『圧倒的なフィクションを求めて』
    冒頭に中屋敷さんによる演劇におけるフィクションについての話があり、その後レビュー仕立てのショートパフォーマンスが上演されました。圧倒的な馬鹿馬鹿しさが楽しかったです。言葉と身体をバラバラに使うゲームを取り入れた即興性の高いパフォーマンスでしたが、独特の方法論によって、完全に中屋敷ワールドになっていました。

    奥山雄太『「恩名野中学綱引き部の練習@キャプテンジュンの自宅の居間」の練習』
    他の演出家の様に確固とした方法論を持っていないので、と前置きに続いて奥山さんの過去の作品の抜粋が上演されました。綱引きの練習風景を描いた分かりやすいお笑い系の作品で、個人的にはあまり興味を持てませんでしたが、今回の演目の中では一般的な意味での演技力が一番如実に現れるものだったと思います。

    発表の後の演出家達のトークは、笑いの多い楽しい雰囲気の中にもそれぞれの演劇観が真剣に語られていて、充実した内容でした。

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    2011/12/25 21:58

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