満足度★★★
『イドメネウス』鑑賞
モーツァルトのオペラ『イドメネオ』で有名な、クレタの王イドメネウスとその息子イダマンテスの物語をベースに、登場人物の1人であるエレクトラの家族間での殺し合いのエピソードも接合しながら、様々な「もしも~だったら」と別の話の展開を見せては分岐点に戻って進む作品で、どの選択が正しいのか、また、正しい選択とは何を根拠にしているのかを考えさせられました。
白い会議机が集められた周りに黒い箱状の椅子が点在していて、机の上や椅子、さらには客席内の椅子に場面毎に座る位置を変えながら物語が展開しました。元の物語と異なる展開になる時は明け透けなエロティシズムや猟奇的なグロテスクさを強調する方向へ行きがちなのが、いかにも現代ドイツ演劇らしいと思いました。
役者と役あるいは語り手の関係が固定されていなくて、様々な役者の声で立体的にテクストが読まれ、役者達の台詞回しがしっかりしていて、視覚的な表現がなくても十分楽しめました。
舞台となっている地中海地域を感じさせる雰囲気があるギターの生演奏による音楽が良かったです。
変に弄くり回さず、戯曲の魅力がそのまま伝わって来る様な素直な演出でしたが、もう少しアクがあっても良いと思いました。
2011/12/22 23:18
2011/12/21 12:58
どういたしまして。リーディング公演と銘打っていながらも、どの演出家も色々な手法を盛り込んでいて、期待以上に楽しめる企画でした。
ちなみに、世界の演劇事情を報告する300ページ弱の立派な本が会場で無料配布されていたのですが、各国の先鋭的な試みが紹介されていて、とても興味深い内容でした。