ご来場ありがとうございました!!『増殖島のスキャンダル』 公演情報 舞台芸術集団 地下空港「ご来場ありがとうございました!!『増殖島のスキャンダル』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 素直になれなくて
    個人的には面白かった。だが、良作ではない。

    地下空港の粘着な追っかけの私としては、今回の舞台は複雑な想いの起こる作品でした。大きな問題は脚本にあるでしょう。しかし、演出の好手があって楽しめない訳じゃありません。私は観客としてはもう失格ですね。こんなこと言ってるようじゃ身内みたいなものです。

    3回目ともなるともう恒例の実験公演。ここでは様々な試みが肯定されます。入場して間もなく、空間に魅了されます。壁にはインタラクティブな映像が映し出され、チェロの弦が弾かれる音が聞こえます。椅子を組み立てて座ると、自分が何かの粒子になったような気分になれます。壁の映像の中の粒子あるいは正確に均一に並ぶ金属元素のように。wktkですよ、これは。非常に美しい演劇空間!!!

    冒頭はすぐ忘れるので省くとして、のっけから役者が壁に向かって芝居をするなど面白演出があり期待は上がっていきます。島へ行くフェリーの中での演技のアイディアはどれも秀逸。そして、シチュエーションは王道の離島ミステリー。ドドドドド!ドドン!

    でも、話が深まるにつれて雲行きがあやしくなって・・・
    以下、ネタばれへ。


    ネタバレBOX

    離島ミステリー、大女優の秘密、毒姫、報われない恋、これだけのアイテムが揃っていて、それを素直に物語にしない。いや、出来ない。そこには楽しい物語を作るというより、明確な意図・意志・思想があるから。
    それは演出家の強い思いなのですが、非常に幼稚です。それを役者全員でなんとか舞台にしようとした感じを受けました。思いを欠いては公演をやる意味がなくなってしまうのでしょうが、敢えて、それを捨てても良いんじゃと仮定すべきだったのでは?

    物語を面白く終わらせることは、演出家・脚本家の伊藤さんには出来たと思います。ホテルをラピュタの城ように崩壊させて、主人公たちは島を去る。毒姫はお母さんと島に残り、海に沈む。とかまだまだありますよね。でもこれでは、原発を受け入れて、あるいは、この現実と共に厳しい道のりを行くことを決意する主人公を描くことはできない。だから、エンタメ的なラストを選ばべず、話はループします。
    それなりに楽しめる物語を用意してくれていたと思うのですが、比喩を意識しすぎて、乗り切れなかった気もします。どういうことか常に読解を試みずにはいられない"題材"なので。

    ここからはただの苦言ですが、それほど社会にコミットしたいなら、自分の思いを伝えるより先に、社会に必要なもの、ないものを生んで届けるべきではないか? 社会を上手に比喩的に描いたり、直接的なメッセージを発信することより良いやり方があるんじゃないでしょうか? ヒステリを自制できないなら、それをまき散らすべきではないと考えます。

    不信を抱き、不安に駆られ、一方的な人の声は不快です。現実でもそうですよね。舞台では妊婦がそのような役で出てきてキーキー喋り、それで終わりまで通してしまうので不快でした。また、笛。人を都合の良く操るというアイテム。これが楽しいお話上のアイテムに見えればいいんですが、どうしても、政府や御用○○といった連中へのシンプルな不信が透けてしまって心が冷めます。なんで透けるかというと、必要以上に強いアイテムだからです。煩いし、演出上の効果を越えて不快、胎児が心配。私はあれは魔法使いのタクト(ステッキの先に☆なんかついちゃったようなやつ)くらいかわいげのあるものにして、音はなくて光りをつかって表現すればよかったんじゃないかと思いました。

    さて、最後に役者の方について気づいたことを書きます。
    記者役の野田さんの演技が良かったです。ああいう声も出せるんですね。iPadを触る仕草からもうしっかり役が伝わってきました。
    あと、今村さん。登場で衝撃。役作りのために太ってました。特殊メイクかってほどで、彼の意気込みに脱帽です。でも、髪をメッシュに染めるとか、シャープな方の作り方もあったように思います。彼は基本的にやっぱりカッコイイんですから。ぱんぱんなのはちょっと面白くなってしまった。歌について、確かな歌声が聞き取れた。どんどん突き進んで欲しい。

    映画のエンディングの歌が異常に素晴らしい名曲でした。やばいすごい!

    ※メモ
    黄泉の国から来た 蛆がわいていて限界 自動的に生まれる娘
    台本を書き直す前は元はどんな設定だったんでしょうか? 気になります

    あと、どんどん出てくる娘で、綾波レイを想像
    女優がアダムみたいな

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    2011/12/18 07:36

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  • 形状不明さま

    私の「観てきた!」へのコメント、ありがとうございます。

    この芝居、表現としてはいいものが随分とあっただけに、とても残念でした。8劇団が参加した「日本の問題」でも、問題をあげつらうだけで、それに対する視点を明確にできない劇団が散見されましたが、そういった問題にどう対処していくのかという視点を示すのが表現者としての使命ではないか、と思います。ちょっと厳しいかもしれませんが…。

    2011/12/20 00:21

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