楽園王+劇団ING進行形「新・芸術とは・・・?」 公演情報 楽園王「楽園王+劇団ING進行形「新・芸術とは・・・?」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    あとからじわじわ効いて来る感じ・・
    演劇というモノにはまったく興味はなかった。ひょんなきっかけで「来て、観て、くださいな」と言われて、お義理で小劇場なるものにはじめて足を踏み入れた。自分は場違いじゃないのだろうか・・と思いつつ。
    しかし、そんなことは杞憂であった。会場は4~50代と思しき観客が多い。日曜朝10時という設定が我々中高年者には好ましい時間帯であるからか。会場はびっしりの満席。劇自体は良くわからない。

    でも、あとからじわじわ効いて来るそんな感じ。

    感じた事はネタバレにて・・・

    ネタバレBOX

      白衣の人が昔の言い回しで話したり、暴れん坊将軍のテーマに乗せてふんどし将軍が、「何じゃこりゃ~」と出てきたり。ちょっと、フリーズする事もしばしば。良くわからんうちに劇が終わり、入口で手渡された、ちっちゃな字の案内を電車の中で苦労しながら読んでみた。

     これは20年間も劇団を守り続けた演出家の、これからの演劇への迷いへの回答をあらわす劇であるという。みんなが3.11で大きな絶望を感じ、これまでの生き方に疑問を抱く。そんな中、この劇は生まれたという。案内を読んで、やっとこの公演の趣旨がわかった。3っの古典をアレンジし、オムニバス風に仕上げてある。流行おくれの浄瑠璃作家が命をかけて作品を書くさま。妥協を許さない面作り職人の執念。自殺寸前の俳句書き。現代風なアレンジ、スピード感とちょっとはずし気味のパロディあふれるアレンジ、 枕元で「お前も作品を書いてみろ」と言われても、やみくもに紙をふっ散らかしているだけで、「そんな~できません。」と言ってしり込みする浄瑠璃書きの弟子、適当に妥協して、「いいよ、いいよ、殿様はこのお面で喜んでるんだからこれでいいよ、早くわたしな」と権力に媚を売る茶坊主。無邪気に、「お父さん死んじゃいや~」とわめく娘。これらはまるで、妥協を重ねて生かされている、今を生きる自分達の姿そのものだ。そして最後に「芸術とは」の言葉で劇は終わる。
     
     実はよくわからんと思えしこの劇は、この劇団のこれからの生きざまを表明していたのではあるまいか?ふと、「狭き門から入れ、滅びに至る門は広い」と言う言葉を思い出した。この二つの劇団はこの劇を通して、芸術とは、命がけ、妥協しないぞ、死にそうになっても死なないぞ、まっすぐに最高のものを最善を尽くして作り続けるぞ、あきらめの中には芸術はない!との意気込みを表していたのだ。この劇を通して私がえた回答は狭き門を突っ走る決意の中にこそ芸術は存在すると見た。 この劇を見て、自分はその気づきにたどり着くのに時間を要してしまった。演出者はこの劇を通して観客がじっくり時間をかけて考えてほしいと願ったのであろうか。時間をかけて自分の頭や心にべったり張り付き、大きく心が動かされてきた。今になってようやく、劇の意味を自分なりに見出せたうれしさが湧いている。観劇初心者の私はラディー・長堀両氏のねらいに、すっかりはまったのかもしれない。

     チケットの半券は、別の日に開催する公演を見られるそうだ。自分なりの回答への答え合わせのために、この劇団のもう一回の公演にも行かねばなるまい。

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    2011/12/13 21:44

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