【追加公演決定しました!】『B4 paper books 2』 公演情報 劇団パラノワール(旧Voyantroupe)「【追加公演決定しました!】『B4 paper books 2』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    【赤の章】を観た。短編2つからなる。

    相変わらずの劇団海賊ハイジャックらしい屈折と狂気と残酷ぶり。笑) 一見するとこの物語は観客の好みに分かれてしまう。それというのも鮮血やら殴り合いや、不条理な殺され方で人がバタバタと死んでいくし、挙句、口汚い言葉での罵りや、あるいは吐き捨てるセリフで眉根をよせてしまう観客も少なくないからだ。しかし、遠目で距離を置いて全体像を眺めるとこれほど滑稽でバカバカしい物語はないのだ。だから刺激的なコメディとして観劇するとひじょうに楽しめる。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX


    裏日記はこちら→http://ameblo.jp/misa--misaki/


    『dogma』
    学び舎では毎日が戦場で教師は生徒にとって絶対の存在で生徒は服従を強いられていた。ここでは教典に基づいて生徒を教育し、全てのテストに100点満点を取らなければ死が待っている。397人居た生徒が今では模範生8人のみになってしまっていた。
    卒業式の日、8人の生徒を試す試験(教典の中から出題される問答)が行われる。ここで合格すれば晴れて栄光の卒業生となるが、不合格しても合格しても、殺される運命だ。要は死の卒業式なのだが、これは教典に基づいた教えでもあった。

    ここで観客はなんで?なんて新たな疑問が沸々と沸き起こるが、免疫のない優等生たちが学園の外の世界に出たら、不条理な差別に出会い落胆し絶望し生きていけないだろう・・と説く教師がいた。笑
    まあ、世の中を痛いほど熟知していると思われる宇野の台本でのセリフだ。

    しかしここで五大先生(川添美和)が教典の逆説、つまり真実を暴き出す。それは校長の生き様について綴った物語だった。この物語にワタクシはひじょうに感動し落涙したほど素晴らしく美しい話だ。生きることに真摯に立ち向かい朽ち果てるまで生きるという執念を感じた不幸な男の話だ。男が歩んできた鮮やかな場面が想像され、それらが、まるでしんしんと降り積もる雪のように・・・やがてずっしりとワタクシのこころを満たす場面だ。自己犠牲的な物語でもある。

    悪しき風習を継承した学舎を舞台とした驚異の学園活劇は五大先生の逆説によってその縛りを放たれ生徒らは巣立っていく。終盤でいい話だったなぁ。と感動する物語でもある。

    『テッドとリチャード』
    連続殺人事件の被疑者として告発されたリチャードは「やったのは俺じゃない。悪魔の仕業だ。」と直訴を始めた。悪魔崇拝とヘヴィメタルに魅了された異常者は、端整な風貌と快活な弁舌を併せ持っていた為、彼の愁情に斟酌した愚昧な聴衆は一躍彼を担ぎ、量刑の裁断を待たずしてスターに祭り上げた。そのころ真犯人テッドが自供し死刑執行されることになる。

    リチャードは晴れてシャバに戻りヘヴィメタルの演者としてスターダムに乗っかり贅沢三昧を繰り返していた。テッドの死刑執行の日、執行官は「最後の望みをいいなさい」という。テッドはリチャードに合いたいと希望し、そして被害者の関係者のリストを手渡すのだった。テッドは「俺は君が言った被害者の家族、友人、上司、あらゆる関係者に謝りたい。といった言葉に感動して君の身代わりになった。獄中に居たら謝りに行けないだろう?だからこれからは君が一人ずつに謝りに行くんだ。」と残す。

    ほんとうの真犯人はリチャードだったが、彼の身代わりになって死んだテッドの代わりになって被害者の関係者らに謝りにいくという、なんとも複雑で苦悩に満ちた物語。
    死刑執行が電気椅子との設定だった。海外では一人の執行官がアームを引くのだろうか?日本では確か3人の執行官がそれぞれボタンを押す仕組みだから、執行官が鬱になるのを防ぐように出来ているが・・。

    また電気椅子での死刑の場合、頭に被せる帽子の下に水を湿らせたスポンジを乗せて死刑囚の頭が黒焦げになるのを防ぐのじゃなかったかしら?
    どちらにせよ、死刑執行されてしまった場合、事件そのものが終わってしまったという理由で真犯人が解っても罰せられないという法の抜け穴は不思議としかいいようがないのだが・・。

    ここに登場する警察官が頼りなくてはちゃめちゃ。ものすっごく弱腰だ。笑
    川添は赤と黒で膨大なセリフを吐くが、よく頑張ったと拍手を贈りたい。こういった2バージョンは役者泣かせだけれど、川添はちっさな体で本当に根性があります。演出もお見事!

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    2011/12/11 16:58

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