満足度★★
旅する乙女
クラシック系ではない音楽家が作曲した合唱の為のオペラで、バンドの演奏を伴ったリズミカルな音楽に乗せて女性の心情が描かれていました。
舞台前方中央に傾いて立った門があり、奥には雛段が組まれたステージを白のワンピースの上にコートを羽織った26人の女性のみの合唱団が様々なフォーメーションを作ったり、移動しながら歌い演じて展開する作品で、「桔梗/帰郷」、「銭湯/戦闘」等、言葉遊びの多い歌詞や台詞を通して、移ろい易い乙女心がユーモラスに描かれていました。が印象的でした。
音楽はサンバや、サルサ、タンゴ等のラテンミュージックをベースに、ワーグナー、ラヴェル、ボブ・マーリーの引用を織り交ぜたもので、シンプルなユニゾンが多くて聴き易かったです。ピアノ、ベース、ドラムの3人がビートを引っ張って行く、きびきびとした曲調が爽快でした。
音楽作品としては楽しめたのですが、演劇作品としては面白く感じませんでした。歌が1曲終わる度に転換の為の時間があるため、ドラマとしての連続性がなく盛り上がりに欠けていたと思います。おどけた雰囲気の演技が多く、もっとシリアスな表現も見せて欲しかったです。結構台詞が多かったのですが、回しがぎこちない人が多くて残念でした。
残響のせいで台詞が聞き取りにくく、明るい木の色の空間では視覚的に密度が薄く見えたので、コンサートホールではなく演劇用の劇場で上演した方が良さそうに思いました。