満足度★★★★
近松二本立て
神話と心中物という妙な組み合わせの番組だが、両方とも近松門左衛門作。「日本振袖始」はヤマタノオロチを舞台上でどう表現するかワクワクしながらその瞬間を待ったが、これが素晴らしい。詳しくは舞台を見ていただくとして、大胆で斬新な上に美しい大蛇!300年前の人がこれを考え、それをまた見て楽しむ観客がいたということに驚きを禁じえない。「曽根崎心中」は藤十郎親子の共演だが、この二人、恋仲の二人を演じるにはあまりにも顔が似すぎている。父親としては息子に役を覚えてほしいという気持ちがあるのだろうが、見ているほうはどうも冷める。こういうことに違和感も疑問も感じないところが世襲のよくないところである。