満足度★★★★★
すばらしかったです。
人間は「自分がこの世で何をなしえたか」ということよりも、「自分が何をどれだけ持っているか」で、幸せの度合いを計っている。
「私の」という所有格の代名詞を、より多くの名詞に対してつけることのできる人物がより幸福だと、人間は考える。(トルストイ『ホルストメール』より)
トルストイの「ホルストメール」を初めて見たので、この芝居の演劇としての出来の良さはもちろん、もともとのテーマにも深く感動させられました。
立派だった公爵の最後は、死んだ馬ほども役に立たないんだという皮肉。歳を取るなら、堂々とした老年になりたいですね。
オープニング、役者たちがマイムで円形の舞台を回りながら、人間から馬になっていく様は幻想的でした。
小山力也さんのいななきは馬にしか聞こえず、いつしか馬ホルストメールにしか見えなくなりました。
動物に(だけ)は弱いので、やっぱり泣きました。
いいお芝居でした。