三人姉妹 公演情報 グルッポ・テアトロ「三人姉妹」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    自然な演出だが、難点を感じた
    かなりの長期間、稽古に時間をかけたそうで、その成果で、翻訳ものにありがちなとってつけたような違和感がなく、自然な人間関係の雰囲気を出すことには成功していると思う。

    だが、個々の俳優の資質の違いがアンバランスな感じで、「公演」と言うよりワークショップを観ているような印象が残った。

    作品の人間的心情が現代人にとっても理解し、共感しやすくなっている反面、現代的演出が作為的に浮き上がって、ロシアらしい雰囲気が伝わってこないように思えた。

    私は映画の「ドクトル・ジバゴ」や、「戦争と平和」、「アンナ・カレーニナ」が好きなので、「三人姉妹」を観るからには

    やはりロシアらしさを味わいたいのだ。

    チラシの女優たちの平服も現代を意識したのかもしれないが、野暮ったくてゼンスを感じない。

    満席の場合、補助席は小さな木の丸椅子で、これで2時間30分はきついので、ごらんになるかたは早目に入場されることをお勧めする。

    ネタバレBOX

    一番、違和感を持ったのは、衣裳である。

    最初の場面で、三女イリーナは盛夏に着るワンピースだが、ほかの人は秋らしい服装。

    家政婦アンフィーサ(豊田真弓)が、日本の割烹着を着て、いかにも日本のおばちゃん風で、和風のお盆を持って泥鰌救いを踊っていたのには唖然とした。

    市原悦子の家政婦でもエプロンくらい着ている。

    長女オリガは地味なお茶くみOL風だし、次女マーシャは合コン好きのOLみたいな服装だ。

    しかもアンドレイの妻のナターシャやイリーナは着替えるのに、次女はずっと着た切り雀なのが気になった。

    やはり、女優にはロングスカートをはいてほしかった。イリーナのAKB48を思わせる衣裳は特に気になった。

    女性の足がきれいに見えない中途半端なスカート丈で、マーシャのぴったりしたパンツルックの皺も気になる。

    全体に90年代初頭のバブルの日本の雰囲気を感じた。

    当時の自分の職場の人たちの服装にそっくりなのだ。

    南海ホークスのギャグなど不必要に思った。

    アンドレイ(原野寛之)が日本のサラリーマンみたいにネクタイで鉢巻して騒いだり、宴会でカフェバーみたいな現代的な音楽がかかる。

    もちろんロシアらしい曲もかかるが、音楽の入れ方も聴こえ方も不自然で、調和していないのが気になった。

    下手、無音でみんなが踊っていて、上手ではアンドレイとナターシャが会話している。

    その靴音が下手側の席ではとても耳障りで狭い会場ではパントマイムも不自然に見え、むしろ低く音楽を流したほうがよかったと思う。

    ヴェルシーニン(片山健)が40代初めという設定だが、茶髪の若者にしか見えない。

    ローデ(ゴールドバーグ翔音)が体育会系の雰囲気を出そうとしてか、声が大きすぎて浮き、芝居の雰囲気を壊している。

    チェブティーキンの宮川知久だけが新劇風の手堅い演技で、かろうじてチェーホフ劇らしい。

    若手ではトゥーゼンバフの佐藤学ニの個性が印象に残った。

    アンドレイの妻ナターシャの如月皐は婚約時の純情娘から豹変した嫌味な小姑ぶりがよかった。

    三人姉妹では、いつもオリガが印象に残るのだが、壱岐照美は堅実さはあるが、寂しい顔だちで演技も控えめなので、役の性根が見えてこない。

    マーシャの久保田涼子は難役を好演したと思う。

    イリーナの山本美紀子は愛くるしい美少女ぶりが目を引き、今後の成長が楽しみだ。




    0

    2011/11/19 13:11

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大