49 公演情報 ムシラセ「49」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    したたかな描き方
    舞台の作り方がとてもしたたか。

    観る側がまるっと観切ってしまうような
    トーンが上手く重ねられて。

    隠し味のなかにも
    作り手のバランス感覚というか
    センスを感じる作品でした。

    ネタバレBOX

    冒頭のシーンは
    観る側にたいする謎を織り込んで、

    前半は舞台の切れで
    観る側を惹きつけていく。
    椅子の動かし方やシーンの刻み方、
    さらには物語の展開や役者たちの演技まで・・・。
    表層の物語の骨格と
    常ならないものの想いが
    スピード感のなかでしたたかに絡み合って、
    観る側もすっとそれを受け取ってしまう。

    一旦物語の仕掛けが観る側に置かれると
    舞台は一転して、
    腰を据えてキャラクターの想いを見せるように
    トーンを変えていく。
    よい意味での冗長さが舞台に置かれて・・・。
    椅子などの動きはほとんどなくなり
    観る側が登場人物たちの想いをまっすぐに受け取りうる
    実直な物語が組み上がっていきます。

    そして、2つの物語で仕組みが明らかになり、
    舞台に厚みが醸成されたなかで
    最後の物語には更なる踏み込みが作られていく。
    独立の3つの物語が一つのベースの上に置かれて
    キャラクターの想いの質感が
    物語の展開のなかで鮮やかに浮かび上がってくる・・・。

    ムシのシラセの感覚の実存感を感じ
    物語のラストにも不思議な必然を感じつつ・・・、
    そのままに終演を迎えて・・・。

    物語のテーマとか
    人物の設定とかについて
    驚くほど斬新なものだとは思わないのですが
    それを表面を尖らせるのではなく
    内に縫い込まれたセンスで見せ切るような力が
    この舞台にはあって、
    光の作り方にしても、
    椅子の使い方にしても
    常ならぬものの衣裳にしても
    観る側をしっかりと舞台につなぎとめ続ける
    作り手の色というか洗練が
    舞台が満たされていて、
    飽きることなく物語の展開に身をゆだねてしまう感じ。

    公演2日めということで、
    ほんの少しだけ
    キャラクターの色のエッジが立ちすぎる部分もありましたが、
    公演が進めば、そのあたりも次第に馴染んで
    さらに舞台の表現力が上がっていく予感もあって。

    前回初めて拝見した、この劇団の作品とは
    味わいは違っていましたが
    ベースにある作り手の視座や
    なにかを現わすことへの洗練が
    いろんな引き出しをつくりだしているようにも感じ、
    次の作品への期待も膨らんだことでした。

    0

    2011/11/18 07:18

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大