満足度★★★★★
恐るべきしかし普遍的な風景
公開ゲネで観賞しました…すごくよかった。
演劇的ファンタジーをまったく使わず描く女の生理が凄まじい。
たしかにある意味で表現上は暴力的でもあるが、これを見て「普段目にすることの無い女の側面だと本気で思う男」がいるとすれば、悪いことは言わないのでその男とは別れた方が良い。
男側が自分を誤魔化さずに女をよく観察していればそんなに物珍しい側面ではないはずである。が、「それを隠すべきが女である」という価値観に生きる男が多いのも確かではある。
それは「見ないようにしている」「見えないことにしている」のである。
なんかこの辺で感じたのは「結局は放射能漏れてる」という事実を「(あるのに)ないことにしている」という人間心理などと通底している点である。
また、終盤に至ってもけたたましく笑っている男性客の様子を見て思うのは、こういう場合、男ってのは反射的に対象を嘲笑して自己防衛するということ。
この演目は「それらの男性客を観て笑う芝居」かもしれぬということ。深読み過ぎか?
また、これを観て「結構普通の女の風景」と感じる女性と「露悪的な風景」と感じる女性がいると思うんだが、男は上記も含めて押し並べて「静かな悪意の圧迫」と感じるのではないか。
男(金山)が端的なステレオタイプに集約して「モノ化」してあるのもあるのだが、そもそもこの芝居は「女」や「男」を「真面目にやってない人」には男女問わず意味不明で下品なだけに感じるかもしれない。
男性客におせっかいをするならば、ある部分については「そこで笑ったらアンタ負けだよ」って芝居かも(人生勝ち負けだけではないが)。
もしくは「場違いに笑う男性客」を観ていろいろ感じろと。
そういう意味ではまあなんと観客と一体になって創っている芝居だろう。
ロ字ックの芝居は、男を連れて行って反応や感想からそいつのレベルを判定するのにちょうどいいツールにもなると思う。
女性側も「相手に対してわかっているけどみないことにしていること」が明白になるのではないだろうか。