Live forever 公演情報 キコ qui-co.「Live forever」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    心が震えるような作品
    強烈に五感と体験と記憶を刺激し、心が震えるような作品だ。
    よくぞこのテーマに真正面から向かい合った、と思う。

    ネタバレBOX

    タイトルがド・ストレートだし、フライヤー等の前情報もあったので、観客は心して舞台に向かうことができたと思う。
    そして、散文詩のような大作。
    だから、観客は、心の中に用意しておいた、震災への想いを舞台の上に見出すことができ、共振することができたのではないか。
    そういう細かい配慮がうまいと想う。

    しかも、観客の予想(心の中に用意してきたこと)をいい意味できちんと裏切り(超え)つつ、面白さもある。
    見事な戯曲と演出、そして、役者たちだと思う。

    役者のうまさは格別だった。
    特に阪神タイガースの選手(笑)役の櫻井智也さんの佇まいにはシビれた。それぞれのキャラがくっきりと浮かぶ。

    そして、「音楽劇」と言っていいほど、音楽が物語を語ってくれる。オアシスで始まり、ソウル・フラワー・ユニオンはベタ鉄板すぎるのだが、「歌」がいいので、気持ちが持って行かれる。その選曲と生演奏、唄が、とてもいい。
    本当にうまいと思う。
    歌というのは、時代そのものだから。

    ただ、丁寧に見せること、もくしは劇的に見せることを意識しすぎたのか、例えば、冒頭から続く、1.17を象徴するような映像は、素晴らしいと思うし(シーンによって瓦礫の様子が変化したり、虫とかの様子)、轟音とともに効果的であったことは確かだと思う。だけど、このシーンの多くが映像があまりにも雄弁すぎないだろうか、と思ってしまった。
    続くオープニング映像の、PVっぽい感じを見て、さらにそれを感じてしまったのだ。

    ストーリーが進むごとに展開される物語の中では、映像はそれほど気にならない。だから余計に1.17のシーンが気になってしまうのだ。
    例えば、1回だったらどうだったのだろうか。あるいは、まったくそういう直截的な映像を使わなかったらどうなのか。いろいろ考えてみると、直截的な映像を使うことで失ってしまったものがあるのではないかと思ってしまうのだ。
    確かにわかりやすいし、五感に訴えることができる、だけどそれだけでいいのだろうか? ということだ。
    ヘリコプターが禍々しくなったりするところなどは、特に不要と思ってしまう。例えば「虫」だけで十分ではなかったのではないか。

    そういう意味において、構成はそれほどうまいとは言えなかったのではないだろうか。時間軸のずらし方とか。どうもそれで少々長く感じてしまった。

    それと、野花の設定、ハンディがある少女というと、必ずと言っていいほど、天真爛漫で幼児のような動作と行動という判で押したようなキャラになってくる。
    それは戯曲上必要だったとしても、それしかなかったのだろうか、と思ってしまう。絵を描くことに長けている、という設定もそうなるとイマイチだし。

    ハンディキャップのある2人がつながるシーンは美しいと思うのだが、それはツクリモノに感じてしまうのは私の感性が黒いからなのだろうか。

    あとは、「女性」が軸であることが徐々に明らかになってくる。これは「生」と「性」であり、未来への希望でもあるのだが、やっばり「女性」なんだな、というところが気にかかる。意外と普通というか。「女性」と「男性」で、それは同列でもいいのではないかと思うのだ。
    特に登場人物の男性たちは、やけにしょーもない感じで、もちろんチャーミングではあるのだが、女性の腰の据わり方と比べてしまうと、進歩のなさがちょっとなぁ(笑)と思ってしまうのだ。

    しかし、見終わった後の気持ちはとてもいい。

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    2011/10/30 11:38

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