Kと真夜中のほとりで 公演情報 マームとジプシー「Kと真夜中のほとりで」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★


    人の死について、考えてみる。
    また、音楽について。
    あるいは木漏れ日のように、浮かんでは消える景色について。

    お別れを言って別れるのは、人生の中ではそう多くはない。
    いつの間にか、溶けるように消えて、もう二度と会わないことのほうが多い。

    ・・ある日突然、自分の前から消えてしまった人たちのことを考える。

    たとえば自分の父親について。
    病室での最後の会話を思い出す。

    たわいもないある一日の出来事。
    久しぶりに家に訪ねてきた人の話。
    父親は「よかったな」と言っていた。
    笑っていた。

    それは、景色。
    音はあったのだろうが、父親が言ったその声がはっきりと思い出せない・・。

    記憶の中の景色は、音の海に溺れて消えるだけ。
    水面の景色はきらめくけれど、ゆらめくばかりでとりとめもない。

    ときに音が舞台の台詞をかき消すというのは、
    自分にとっては酷く自然に感じられる。

    考えてみれば、記憶のなかの美しい景色にはっきりとした声が必要なのか?

    上演する2時間ほどの時間は、
    自分のなかの記憶を探す旅でもあるように思う。

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    2011/10/20 23:59

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