ちょぼくれ花咲男 公演情報 文月堂「ちょぼくれ花咲男」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    話がよくできている
    開演前のBGMが、名画座の時代劇コメディ映画特集の時のような楽しげなもので、いつもの小劇場演劇の雰囲気とは違う感じだった。

    守屋浩の「ありがたや節」を聴いたのは何十年ぶりだろう。

    もっと軽い感じのコメディかと思っていたら、コメディというよりも人情物の時代劇という趣で、きちんと作られていたことに感心した。

    落語やエノケンの時代劇コメディ映画に近い雰囲気かもしれない。

    何よりもストーリーが面白く、江戸の人々の会話が生き生きと描かれ、自然なのがよかった。

    黒子や差し金を使うなど演出も工夫されていて、最後までわくわくさせられた。

    雑感はネタバレにて。

    ネタバレBOX

    病気がちのお光(田中玲)が咳き込む演技が、まるで仮病のように大げさでとってつけたようなので笑っているお客もいたが、別に笑いをとろうとしているとも思えず、気になった。

    弥七(平田耕太郎)について周囲による「男前」を強調する台詞が何度かあり、私の位置からは髪が覆う彼の顔があまりよく見えなかったのだが、いい男なら一度褒めればじゅうぶんな気がした。
    平田は滑舌が悪く、つっかえるのが気になった。

    遊女のありんす言葉になぜか京言葉が混じるのも違和感がある。

    美鈴(石川佳那枝)が相対死の石田(佐藤滋)に「兄上さまにお詫びして許してもらい、どこか良家の養子になれば」と言うが、相対死の生き残りは非人手下となり、人別帳からも抜かれるので士分には戻れず、この時代には周知のことなので、非現実的な提案に感じた。

    今回、一番注目して観た俳優は町医者・向井兵衛役の高宮尚貴だったが、この役は出番は少ないが簡単そうでもなかなか難しいと思う。

    日舞が特技なだけに所作が様になっており、なおかつ時代に張って言うところと、喜劇でくだけて言うところの緩急の間がよいと思った。

    ただ、この役の設定が、ご家老と一緒にいるので、江戸屋敷詰めの藩医かと思っていたら、配役表では藩お出入りの町医者と書いてある。

    劇中、御典医(大名家は御殿医ともいう)推挙の話も出ていたが、姫君のお脈をとるのがいくら名医でも藩お出入りの町医者と言うのはあまり聞かず、不自然に思えた。

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    2011/10/06 16:35

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