ぶどう畑に落ちた流れ星 公演情報 メガバックスコレクション「ぶどう畑に落ちた流れ星」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    色々矛盾が感じられて…
    Aバージョンで観ました。

    高評価が多い中でこういう内容のレビューは書きにくいのだが、
    私としては正直、色々矛盾点が気になってしまった。

    ネタバレBOX

    ステージ上は凝ったバーの舞台装置が用意されていて、
    本当にここで戦争ものをやるのかな? 
    もしかして、会場を間違えたのでは、という気にさえなった。

    ラッセル共和国のワイナリーを利用した軍事(通信?)施設に、
    敵国イーオス国の4人の兵士が、飛行機不時着を装って潜入し、
    ここを破壊しようとしている。

    それでまず、この芝居の設定では、すでに戦争が始まっていて、
    しかももう数年たっているわけで、開戦前の話ではないはず。

    ところが、この狭い室内で戦争中の両国の兵士と国民が鉢合わせして、
    とりあえず捕虜としたり武装解除したりするのだが、
    なにしろ隙が多くて、あれではすぐに相手方に逆襲されて、
    殺されてしまいますよ…。

    それから、ラッセル共和国の兵士が、元々は地質学者で、
    戦争の原因となっている鉱山について、
    「イーオス国にもあるはず。私が見つけに行く。
    だからそうすれば戦争しないで済むはず」と、長口上を述べる。
    でも、それは自国の上官を通して、政府の指導者が最終的に決めること。
    時々、本国に連絡したり、「報告しない」という台詞もあったりするので、
    理屈上は本国の上官がいることは分かるが、
    こういう台詞回しを聞いていると、登場人物自身だけで
    この戦争をやっていて、そして、戦争に関する決定権も、
    彼らが持っているかのような雰囲気や台詞が結構あるのも気になった。

    さらには、負傷している敵国兵士を伴って幼い少女が買い物に
    行ったりもするのだが、これも非現実に過ぎるのではないだろうか?

    そもそも、某国の某時代の話という設定ながら、
    すでに航空機があるということのようなので、
    それならこの施設を空爆してしまえば、
    それで済む話のようにも思えてしまうのだが。

    結局私には、台本作家の「戦争は下らない」という「思想」の
    「主張」だけが、強く押し出された作品のように思われてならなかった。

    (なお、こういうことを言うと、「お前は戦争に賛成なのか?」と
    尋ねる向きがあるので、あらかじめお断りしておくと、
    私のような軟弱男は、戦争でも始まれば真っ先に命を落とすだろうし、
    親類や知人に軍需産業の関係者も別におりません。
    平和だからこそ観劇もでき、好き勝手なレビューも書けるわけです。
    ただ、私は、演劇のみならず芸術は、「政治思想」
    (自分の好むものであろうとなかろうと)から自立しているべき、
    と考えているので、戦中の日本や、戦後でも共産圏のように、
    芸術が政治思想のプロパガンダになってほしくない、
    と考えている次第です。念のため。)

    もちろん、最後のイーオス国軍人のリーダーの長台詞は、
    私も結構感動したし、周囲からすすり泣きも聞こえた。
    一方、終演後、駅への帰り道、夫婦連れの男性が「つまらない」と
    奥さんに話しかけていたのも聞こえた。
    おそらく、どちらの観方も間違っていないし、ありなのだろう…、
    そう思った。

    0

    2011/09/18 18:04

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大