満足度★★★★
余力を残して・・・
池袋演劇祭優秀賞受賞の凱旋公演の形をとった再演もの。正確には三演ということらしいが。
古色蒼然とした旧公会堂のような南大塚ホールだが、戦時中が題材のこの作品にはふさわしい雰囲気かもしれない。
作者は大変気に入っている作品らしく、自ら代表作になるだろうと書いている。
秀作であるのは確かだが、今後、上演を重ねていくほど、さらによくなっていく可能性を秘めた作品だと思う。
逆に言えば、まだ不満に感じる点もあるということ。
役者の演技には文句がないが、脚本の人物描写はまだ練る余地があると思う。
昨年、個人的には☆4つの評価だったが、今回も再演でやはり昨年と同じ点が気になった。
今回、一番感心した点は、俳優が箱の大きさに合った芝居をしていたという点。
小劇場劇団の場合、それがひとつネックになるのだが、見事にクリアしていた。
いつもは多少オーバーに感じる主役・丹羽隆博の演技が、大劇場ではちょうどよく見えた。