満足度★
空疎な情報量
ヨーロッパの歴史や神話を織り込んだ、言葉遊びをふんだんに用いたファンタジー作品でした。過密な情報量が売りとのことですが、意味がない情報ばかりが多く、「意味がない」ということに意味を持たせる意図も感じられず、空疎な印象を受けました。
互いに死んだと思っている姉と弟のパラレルな関係を描いた物語でしたが、色々とエピソードがあり過ぎて芯のない話になっていました。たくさんの言葉遊びが使われていましたが、駄洒落レベルのものばかりで、言葉の多義性から来る意外性や深みが感じられませんでした。
役者も皆一本調子で会話の間の取り方も不自然で、キャラクターの造形が弱く、伝わってくるものがありませんでした。対話のときでも複数名が客席を向いた状態で台詞を言う演出も古臭さしか感じられませんでした。
やたらと走ったり、回ったり、飛び跳ねたり、側転したりする身体表現も、回る度によろめく人がいたりして、逆効果だったと思います。普通の立ち姿ですらちゃんとしてない人がいて、舞台上での身体の在り方をもっと考えて欲しかったです。
ぬいぐるみハンターでの怪演が印象的な桐村理恵さんがこの作品では全然キャラが立っていなくて残念でした。
大掛りな美術は開演前には期待させられたのですが、作品中で必要性が感じられず、むしろ低い位置から照明を打ったときに人影が写ってしまっていて邪魔に感じました。
観劇後のスケジュールを調整する必要があったので、案内係のスタッフに上演時間を確認したところ1時間半程度との返答だったのですが、実際に終演したのは開演予定時刻から2時間20分後でした。把握していないのなら適当に答えずに、他のスタッフに訊くように案内するなどの対応をして欲しかったです。
作品も制作スタッフも良いところがなくて、残念な公演でした。