ジャンヌ・ダルク―ジャンヌと炎 公演情報 東京演劇集団風「ジャンヌ・ダルク―ジャンヌと炎」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    サービス精神旺盛の素晴らしい舞台
    ジャンヌの話自身は有名なものであるし、
    すでに多くのレビューが投稿されているので、
    詳しい紹介は避け、私なりに特に気が付いた点のみ記したい。

    ネタバレBOX

    冒頭は、「東中野に着くのが遅れちゃって…」とか、「僕の鞄知りませんか?」などと言いながら、役者が客席にまで入り込んできて、
    いかにも「旅芸人一座」というような風情を見せる。
    それから、舞台作り(もちろん一部だが)も始まったりと、
    大変凝った趣向で始まる。
    (なお、終演時も同じくシェークスピア作品のような口上がある。)

    そして、劇が本筋に入ってからも、例えば、人形劇
    (小さい人形、大きな仮面、腕だけ使用した人形劇的な手法など様々)、
    影絵、話芸的手法などの要素もふんだんに取り入れられ、
    言わばサービス精神が旺盛なのである。

    ちなみに、大きな仮面は死神とか疫病と言った恐ろしい超人間的存在に
    ついて使用されるが、私は、インドネシアに伝わる
    善と悪の神の対決を描写した仮面劇と類似性を感じた。
    (もしかしたら、そこからヒントを得ているのかもしれない。)

    それはともかく、普通はあまりにあれこれ手を出すと、底が浅くなったり、
    嫌らしい感じになったりすることもあるが、
    演出が巧みであることと、役者各人が芸達者であるせいもあり、
    これら様々な要素が話の流れを妨げたりせず、
    大変効果的な役割を果たしていた。
    それは、2時間半にわたる長編の芝居において、
    観客を飽きさせずに楽しませ続けさせる工夫の1つとなっているのである。

    もちろん、ジャンヌは最後に捕えられ、宗教裁判にかけられ、
    ジャンヌも心が揺れるが、しかし最終的には火刑になることを受け入れる
    …そして昇天…。
    これらの場面は照明の効果も加わり、大変感動的であった。
    終わってみれば、やはり大変素晴らしい舞台を観ることができた、
    という感想に尽きる。


    最後に、些細で下らない指摘を…。
    まだジャンヌが子供の頃、「アヴェ・マリアも歌えるよ」と言って、
    一説口ずさむのだけど、「それってシューベルトでは…?」
    まあ、「開演前設定」とはいえ「東中野」も出てくるから、良いのかな?

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    2011/09/06 17:12

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