身毒丸 公演情報 彩の国さいたま芸術劇場「身毒丸」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    矢野聖人は如何に?
    蜷川幸雄の芝居には今まで一番お金を使っている。アングラ、近松、ギリシャ悲劇、オペラ、若手劇団、老人劇団と様々の芝居を観たが、やはり寺山修司、唐十郎、清水邦夫の戯曲を演出させたら誰も太刀打ち出来ないだろう。そして既に名作と言われている新キャストによる新毒丸をやっと見る。亡き母の思い出から逃れられない新毒に、父親が新しい母を買いに売春窟へ。そこで母の思い出を感じる売女と出会い、そこから新毒と売女(義母)との憎悪を超えた愛情の生活が始まる。
    大竹しのぶ演じる義母が、新毒から母親扱いされずに、少しづつ憎悪に変わっていく。それが恐ろしいまでの新毒への仕打ち、しかしその憎悪が愛情に移り変わった瞬間から、二人は永遠の愛を得るのである。大竹しのぶ演じる義母の新毒を見るまなざし、売女から義母に一瞬に変わる瞬間、義母が憎悪むき出しの鬼母になる瞬間、そして最後に新毒に愛を捧げる辺りなど、大竹しのぶの芝居が、義母の役を、新毒の役を、そしてアングラ芝居をも飲みこんでしまっている様だった。大竹しのぶの芝居はちょっとやりすぎだね!との意見も出てきそうだが、これはアングラであり、アングラにはそんなルールは通用しないのである。この大竹しのぶの芝居がなければ、寺山修司の世界を体感出来ないのである。そして家出のすすめを読んで、家出をしてきたような新毒を演じた矢野君は、芝居の上手さより、大人になる未知への恐怖を体現出来ていた事が非常に良かった。
    演技、視覚、音楽、そして海沿いの劇場と、アングラを商業演劇として見るにはもってこいの空間であった。















    0

    2011/09/06 11:30

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大