11のささやかな嘘 公演情報 ジェットラグ「11のささやかな嘘」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    役者の演技は楽しめた
    銀座みゆき館劇場は素通りするばかりで中に入ったのは初めてでした。

    なかなかすわり心地がよい椅子で、見やすいし、よい劇場だと思います。

    有吉佐和子の『悪女について』を思わせる、亡くなった人物についてゆかりの人間が次々に登場して語るという手法。

    キャストも豪華で、作・演出も小劇場界の人気実力派のコンビということで興味をそそられました。

    入場しても、パンフに配役が書いてなかったので、最近はやりの役名=本名、または番号の芝居かと思ったら、ストーリーをネタバレさせないための仕掛けで、終演後、人物相関図が渡された。

    ネタバレBOX

    才能ある作家と言われながら、芥川賞受賞以来、連載も中断ばかりで1冊も単行本を出版していない作家、夏木が自殺し、49日に個人とかかわりのある人物たちが自宅を訪れる。

    夏木に対し、みんなそれぞれの立ち場で、個人へかける思いがあったり、金や物品を貸したりしているが、嘘もついているという設定。

    夏木という作家も実像が語られるにつれ、女癖が悪いなどダーティーな部分が明るみになってくる。

    最初のほうに編集者役で板垣雄亮が出てくると、独特の空気が流れる。
    こういうこずるくて真面目に話しているのに可笑しみを感じさせる役は巧い。


    夏木を愛したために、夫を殺してしまったちほ役、千紘れいか。宝塚バウホールで紫吹淳の相手役に抜擢され、初ヒロインを務めて以来観る舞台なので楽しみにしていた。在団中、怪我をしたことも、その後の退団につながったと聞いていたが、劇団四季の時代を観ていない。

    宝塚の新人の頃から情感豊かな娘役だったが、大人の女優さんに成長していて歳月を感じた。

    ちほが殺した夫の弟で、夏木の親友だった根米隆也(古山憲太郎)は1年前に自殺したことになっているが、この隆也の霊が夏木の飼い猫に憑依しているということが何となくわかってくる。

    それが最初はわからなかったのだが、どうやら隆也は猫としてしかみんなの目には映っていないことがわかってくる。

    猫であり、人間であり、人間としての姿はみんなには見えないという不思議で難しい役どころを古山が好演。

    苗字も根米(ネゴメ)→猫目に引っ掛けてあるらしい。


    「え?俺、自殺したの?」と猫=隆也の霊がいぶかしむ場面があり、隆也の霊は自殺した自覚がないらしい。

    そこで、夏木と同じように小説を書いていて、夏木が隆也の作品を盗作したうえ、隆也を殺したのではないかという疑念がわいてくる。

    終幕近く、夏木の妻(李千鶴)が、猫だけが夏木のすべてを見て知っていたと語りかける。

    役者の演技は楽しめたが、救いのない話でミステリーとしてもあまりすっきりしなかった。

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    2011/08/30 15:06

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