満足度★★★★★
ヘンキョウで大嫌いと叫ぶ
魂を削るような快作。まるで狂ったような感情の激しいうねり。怒っていたかと思うと、次の瞬間笑い、泣き、ふさぎ込み、叫ぶ。2時間強の間、一体どこに着地するんだと思うくらい、主人公ひろみの感情はグルグルと回り続ける。今作も期待以上、やっぱり早くからチケット取って見に行った甲斐があるなぁって思う公演でした。
本谷有希子の描く人間は、人間らしすぎる人間が魅力だと思う。独特で生きた言葉。肥大しすぎる自意識からくる妄暴走。普通を疑う姿勢からくる自由すぎる自由。人生にそんなに簡単に答えなんか出ないんだというスタンス。エンタメとしての公演の構成。簡単に答えが欲しいと思ってしまうと、本谷作品はどこか冗長に感じてしまうが、こんなに生き方を楽にしてくれて、どうしようもない人間の愛おしさを感じてくれる作家は、僕はまだ知らない。