満足度★★★
優しく名前を呼び交す
様々な手法を用いて女性2人によって男1・女2人の3人のエピソードを優しい雰囲気の中に少しエロスを感じさせながら淡々と連ねた作品でした。
物語の展開はほとんどなく、説明的な要素を排しながら、3人のふざけあったり甘えたりする関係がその時その時を慈しむように描かれていました。お互いの名前を優しい声で何度も呼び合うシーンが素敵でした。
1人2役、2人1役、同じ台詞を合わせて/ずらして話すなど、役者と役の関係を客観的に見せる手法を用いながら、表現していることが主観的な内容で、そのギャップが興味深かったです。多彩な手法を使っている割には、その手法を用いることによってしか表現できない情感があまり伝わって来なくて勿体なかったです。
「演劇×邦楽ロック」を掲げながらも音楽が流れる場面はあまりなく、ここぞという所だけに使っているので音楽の効果が引き立っていました。
足の甲の高さまで水を張った3畳程度のスペースの中で演技が行われ、まるで水が存在しないように座ったり寝転がったりする、役者に負荷のかかる演出でしたが、濡れる身体や水の滴る音が印象的でした。水盆の周りに敷かれたタオルケットがビジュアル的にあまり綺麗ではなかったのが残念です。
照明は最初と最後に暗くなる以外はずっと同じ状態の明かりでしたが、波立たせた水面を水平方向から照らしたり、色を用いたりして水の存在を活かして欲しかったです。